着眼点2
「バーベンハイマー」はもともと単なる「2本立てのお誘い」

 不快感を軽減できるかもしれない着眼点その2は、「 “バーベンハイマー”に原爆をジョークにするような意味合いは元々なかった」である。
 
「バーベンハイマー」が日本国内で問題視されるようになって「#NoBarbenheimer(ノー・バーベンハイマー)」というハッシュタグも登場したが、本来「バーベンハイマー」の意味は、ただ「『オッペンハイマー』と『バービー』を映画館で二本立てで見よう」というお誘いである。
 
 しかし「バーベンハイマー」のネットミームとしての勢いの強さと、きのこ雲などを使ったファンアートの強烈なインパクト、そして映画『バービー』米国公式アカウントの炎上など一連の騒動によって、「バーベンハイマー」の持つ意味合いはすっかり変容してしまった。
 
「バーベンハイマー」はもはや原爆をちゃかすニュアンスを漂わせるまがまがしさを備えるに至り、その文字列を見る度に絶望的な気分になる日本人が続出している。

 しかし、「2本立てで映画を見よう」という本来のメッセージを意識的に思い出し、その文脈で用いられている「バーベンハイマー」という語であれば、さいなまれることはなくなるであろう。