47都道府県の平均は70.0点で、全般的に前年の71.4点より減少している。ブランド総合研究所の田中章雄社長は、「持続度を構成している幸福度、生活満足度、愛着度、定住意欲度のいずれも47都道府県平均が前年より下降している。コロナ禍の収束が見えたことで本来は高まると思いがちですが、日ごろの生活に戻ったことによって、住んでいるまちや生活、人間関係に対しての悩みや不満に目がいくようになってしまったのではないでしょうか」と指摘。
九州地方は前年に続いて、総じて幸福度が高い。そんな中で、首都圏の指標も上昇していることが、今回の調査結果において存在感を示している。たとえば、東京都は41位から25位に、神奈川県は35位から7位に上昇した。
「コロナ禍の影響というのは、地方移住や地方に興味を持つ人を増加させる一つの契機となりました。緑が豊かで、リモートワークだから交通の便も良くなくてもいいということで、地方回帰が多く評価も高かったといえます。しかしコロナ禍が収束し、通勤通学など生活圏の便利さを求めるように変化しています」と田中社長。
インバウンドが回復し、観光客で賑やかさが戻った首都圏。少なからず、地域の活性化にプラスになっていると考えられる。その半面、疲弊化が進む地域では、持続性の低下に本格的に向き合う必要が高まっているのではないか。
持続度の伸び率が大きい都道府県
神奈川県が1位、三重県が2位に
持続度が前年より上昇したのは、わずかに7都県であった。
その中で最も伸び率が大きかったのは神奈川県で、前年の69.7点から72.3点へと2.7点の上昇となった。同県は幸福度が45位から22位、生活満足度が34位から6位、愛着度が36位から12位、定住意欲度が19位から5位へと、いずれも順位を上げている。
次いで伸び率が高かったのは三重県。前年の71.3点から72.6点へと1.3点の増加となり、順位も23位から6位へと大幅にランクアップしている。
同県は「ぜひ住み続けたい」が前年の34.0%から37.6%へ、「できれば住み続けたい」は同32.0%から34.1%へといずれも増加。これらの合計、すなわち定住意欲を持っている人は同66.0%から71.7%へと5.7ポイントも増加している。
3位は東京都で、前年の68.7点から69.9点に上昇した。同都は幸福度が46位から28位へ、生活満足度は31位から14位へ、愛着度は45位から41位へ、定住意欲度は26位から13位へとランクアップした。
この結果から田中社長は、「近年、都市部は停滞気味でしたが、持続性の回復が見られていることは事実でしょう」としたうえで、「ただし、すべての指標で評価が下がっている地域が目立っており、各都道府県でそれぞれが対策をとる必要があるといえます。本結果を今後のためにうまく活用し、地域の持続性が高まることを願っています」と結論づけた。
(フリーライター 西嶋治美)