「東大生が官僚にならなくなった」理由は?学生の“霞が関離れ”を映す現役職員のリアルな声なぜ、東大生をはじめとした学生の“霞が関離れ”が起きているのか?(写真はイメージです)

2023年度春の国家公務員総合職試験の申込者数は過去2番目に少ない結果となった。東京大学の卒業生も10年間で半分以下になり、学生の“霞が関離れ”が起こる中、官僚の働き方改革が求められている。今回、オープンワークが調査した現役職員によるクチコミや評価スコアを基に、「官僚が士気旺盛に就業できる環境」の実現につながる要素を探った。(ダイヤモンド・ライフ編集部)

東大卒の国家公務員試験の
合格者は10年間で半分以下に

 国家公務員の人事を管理する人事院の発表によれば、2023年度春の国家公務員総合職試験の申込者数は過去2番目に少ない1万4372人で、昨年の申込者数(1万5330人)から大幅に減った。大学別の合格数を見ると、東京大学を卒業した学生の合格数は過去最も少ない193人で、この10年間で半分以下だ。

 国家公務員総合職いわゆるキャリア官僚は国の中枢を担い、かつては東大生の就職先の代名詞とも言われていた。だが、長時間労働や国会対応といった「働き方」に関する部分で、東大生に限らず就職先として学生から忌避される傾向があるようだ。

 こうした背景を受け、6月22日、自民党行政改革推進本部は「官僚の働き方改革に関する提言書」を岸田文雄首相に提出した。提言書では、過重労働や若手中堅官僚の離職を防ぐべく、「官僚が士気旺盛に就業できる環境、働いてみたいと思う魅力ある環境を作る」といった内容が盛り込まれた。

 就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク株式会社は、「働き方改革」を推進する立場である国家公務員の働き方に着目した。OpenWorkに蓄積された官公庁業界のデータを、14年と23年現在の10年間で比較して働き方の変化を確認。また1府11省のOpenWork上の各スコアをもとに、国家公務員が投稿した社員クチコミを分析することで「官僚が士気旺盛に就業できる環境」の実現につながる要素を探った。

*【官公庁業界/日本全体の平均スコア比較】:
OpenWorkに投稿された2014年1月〜12月および23年1〜7月累計の現職社員による回答を元に集計。(官公庁業界は1057件、日本全体は4万5815件)

【国家公務員の働き方】:
OpenWorkに23年7月12日時点までに投稿・公開されたレポート回答全てを対象データとし、評価スコアおよび残業時間・有休消化率をまとめている。23年7月集計時点の数値となるため、OpenWork各企業ページで掲載している数値、ならびに前半パートで触れた「官公庁業界平均(23年)」スコアとは多少数値が異なる。また、復興庁・デジタル庁は回答数が10件未満のため掲載していない。