手を替え品を替え「スーパーOMO」を追求する
このAmazon Goをはじめとするアマゾンのリアル店舗の歴史は、2015年のアマゾン初のリアル書店「Amazon Books」に始まります。その後の歩みをあらためて整理してみると下図のとおりとなります。
あらためて見てみると、アマゾンがいかにリアル店舗の取り組みに注力し続けてきたかがわかります。このほかにも、2017年にはアメリカで500店舗以上を展開する食品スーパーチェーン「ホールフーズ・マーケット」を買収するなど、その本気度がうかがえます。
一方で、2022年3月にはアメリカとイギリスの「Amazon Books」「Amazon 4-Star」「Amazon Pop Up」の店舗を閉鎖する予定であることを明らかにしました。
日々収集されるデータを見ながら、業績が伸び悩む、あるいは役割を終えたと判断したカテゴリーに関しては潔く諦めて「次の一手」に移るスピーディな意思決定は、最先端テック企業に共通する特徴といえます。
アマゾンが誇る「ジャスト・ウォーク・アウト」のシステムも、トライ&エラーを繰り返しながら年々進化を遂げています。2020年にはカメラと重量センサーを搭載したショッピングカート「Amazon Dash Cart」を導入。カートのディスプレイで商品を確認し、Dash Cart専用レーンを通れば自動的に精算が完了します。
日本でもイオンなどが「スキャン&ゴー」型と呼ばれるスマートレジカートを導入していますが、日本の「スキャン&ゴー」型のカートが取っ手にバーコードスキャナーを搭載しているのに対し、「Amazon Dash Cart」はカゴにスキャナーや重量センサーが搭載されているので、スキャンのし忘れがなく万引き防止対策も強化されています。
導入コストは高いものの、万引きが行われにくい「Amazon Dash Cart」と、導入コストは低いが万引きや入力し忘れが起きる可能性が低くない「スキャン&ゴー」型のカート。商品を入れるだけのカートの違いですが、こういうところにも、データとしての正確性を高めて次のサービスに応用したいという最先端テック企業の考えと、実業として使えることを重視するという日本企業的な思考の差が浮かび上がってきます。
どこで利益を上げるのか、どこに価値を見出すかで、その後の戦略も変わっていくのです。