「レジなし」で買い物体験ができる「Amazon Go」

 多くのメディアが常にその一挙手一投足に注目する「ECの巨人」アマゾン。OMOの最新事例を語る上でも、王道ではありますが、そのアマゾンが展開するリアル店舗戦略に触れないわけにはいきません。

「あのアマゾンがリアル店舗に進出するらしい」─2016年12月、世界の小売業界に激震が走りました。アマゾンが、レジのないコンビニエンスストア「Amazon Go」の運用を開始すると発表したのです。

 試験運用期間を経て、2018年1月、シアトルにAmazon Goの第1号店がオープン。以降、アップデートを繰り返しながら、このAmazon Goをアメリカだけで27店舗まで拡大しています(2022年9月現在)。

 Amazon Goの仕組みを説明しておくと、まず利用にあたってはアマゾンのアカウントを発行し、Amazon Goのアプリをスマートフォンに入れておきます。そして、入店時にこのアプリでQRコードを表示すると、入場ゲートのセンサーが読み取り、個人認証されて入店することができます。

 店内には、スーパーやコンビニにあるはずの「レジ」がありません。顧客はピックアップした商品を袋に詰め、そのままゲートを通過するだけで自動的に決済が完了します。

 これが、アマゾン独自のシステム「ジャスト・ウォーク・アウト」です。つまり、レジで買った商品をスキャンする必要がなく、そのままゲートを出るだけで買い物が済んでしまいます。そして、Amazon Goのアプリには購入した商品の履歴が記録されます。

 この「ジャスト・ウォーク・アウト」を可能にしているのが、店内の天井などに内蔵されたAIカメラと重量センサー。顧客がどの商品をピックアップしたかを正確に解析するので、商品を持ったままゲートを出ることができるのです。

 ちなみに誤解を招きやすいのですが、このAmazon Goは「無人店舗」というカテゴリーでよく語られています。ところが、実際に行ってみると店内には複数のスタッフが常駐しており、買い物をサポートしてくれます。「レジなし店舗(またはウォークスルー店舗)」といったほうがより正確でしょう。