2021年には生体認証システム「Amazon One」を発表。手のひらの情報をあらかじめ登録しておけば、入店時に手のひらをリーダーにかざすだけでゲートが開くという非接触型のIDサービスで、こうなるとスマートフォンすら不要になります。この「Amazon One」は、今後「Amazon Go」をはじめとするリアル店舗に順次導入される予定です。
なお、2020年からはこの「ジャスト・ウォーク・アウト」のシステムの外販を開始しており、自社店舗だけでないリアル店舗にも「レジなし店舗」を拡充しようとしています。
最新テクノロジーの粋を集めた「スーパーOMO」の新店舗
成嶋祐介 著
そのアマゾンの「次の一手」が、2022年5月にカリフォルニア州グレンデールにオープンしたアマゾン初のアパレル店舗「Amazon Style」です。「Amazon Style」は、アマゾンがこれまでECやリアル店舗で培ってきたテクノロジーの粋を集めた新店舗です。
店頭にディスプレイされた商品の近くにあるQRコードを読み取るとアマゾンのショッピングアプリが起動。商品を試着したい場合は、そのアプリから色やサイズを選択すると、店内のフィッティングルームにその商品が届けられます。フィッティングルームで複数の商品を試着し、購入する商品だけを選択。購入しないものはそのまま置きっぱなしにしても大丈夫です。
もちろん、「Amazon One」をはじめ「ジャスト・ウォーク・アウト」のシステムも採用しています。
「Amazon Style」のバックヤードはアマゾンのフルフィルメントセンター(出荷用の倉庫)と同じ技術・プロセスを導入しており、アプリで試着したい商品を選択してからフィッティングルームに商品が届けられるまでわずか数分で完了します。また、同規模の店舗の2倍以上の在庫をそろえることができます。
さらに、アプリに好みのスタイルやフィット感などの情報をフィードバックすると、その情報をアマゾンのAIに機械学習させ、よりパーソナライズされたコーディネートの提案を受けることも可能です。
たんなる省力化・効率化にとどまらず、オンライン・オフラインで収集したデータを活用してパーソナライズされた顧客体験を生み出す。これが、アマゾンが実現しようとする「スーパーOMO」の姿です。