政治経済の基本を押さえるなら、やはり高校時代に使った教科書や、大学受験用の教材がわかりやすいです。参考書や資料集でもいいので、最新の事例や具体的な情報があるものを選びましょう。
高校生向けの教材は非常にレベルが高く、情報も正確で信頼できます。そのような教材で基礎知識を学びながら、毎日、新聞を読むことをおすすめします。新聞を読むだけでも、政治経済の知識は身につきますが、「そもそも日本や欧米をはじめとした資本主義と、社会主義・共産主義は何が違うのか?」といった基本的なことは、自分から学び直しをしなければ誰も教えてはくれません。
教材で基本的な知識を学んだら、経済であれば、マルクス、ケインズ、ハイエクの経済学の本を読み比べてみてください。マルクスの『資本論』は難しいイメージがあるかもしれませんが、わかりやすく訳されている本もたくさん出ていますし、マンガ版もありますから、自分に合った読みやすいものを選べば理解できると思います。
大きな政府を支持したケインズは、資本主義に社会主義的な計画経済を導入し、小さな政府を支持して自由主義経済を標榜したハイエクと対立していました。両者を比較して解説した新書もいくつか出ています。
政治とは何かを知るうえで外せないのは、『リンカーン演説集』、ガンジーの『真の独立への道』、『ナポレオン言行録』(すべて岩波文庫)、キング牧師の『自由への大いなる歩み』(岩波新書)、『チャーチル』(中公新書)などでしょう。歴史を動かした政治家たちの言葉そのものに触れる学び方が王道です。
マックス・ウェーバーの『職業としての政治』(岩波文庫)も、政治とはどういうものなのか職業倫理にもとづいて書かれた、非常に力の入った本です。にもかかわらず、とても薄くて読みやすい本なので、スキマ時間でもすぐ読めると思います。
挫折しない哲学書
「哲学・思想」は、難しそうでとっつきにくいイメージがあるかもしれません。実際、読むだけで疲れる難解な哲学書もあるので、最初は挫折しない本を選ぶ必要があります。
初心者でも読める古典を積極的に出版しているのは光文社です。「光文社古典新訳文庫」シリーズは、現代人の心に届く言葉で新訳されているので、一般に難しいとされている哲学書でも読み通せるでしょう。
ただし読む際には順番があって、初心者は解説から読まなければ、本文をいきなり読んでもわけがわからなくなる可能性が高いです。
このシリーズの解説は、1冊1冊非常に丁寧で詳細です。私が10代の頃に読んだ訳に比べると、訳文が驚くほど平易になっていてとても読みやすいので、最初にこのシリーズから入れる人はラッキーです。
スキマ時間にもサクサク哲学を学びたいときは、『哲学用語図鑑』(田中正人/著 プレジデント社)が便利です。この本はとにかくイラストの図解がとてもわかりやすい。
無意識もルサンチマンも、階級闘争も唯物論も、現代哲学の主流のひとつである現象学も、哲学用語はこの図鑑で調べればイラストの図解でスーッと頭に入ってきます。
私は東大大学院時代、現象学を研究していましたので、フッサールが創始した現象学の中心概念「現象学的還元」と「エポケー(判断中止)」についても学びました。けれども、フッサールの理解には時間がかかりました。一般の人がフッサールの原著を読むのは大変です。でも、『哲学用語図鑑』で調べてみると、「現象学的還元」ってそういうことなのか! 「エポケー」って、判断をいったん宙づりにして括弧の中に入れてしまうようなものなのか! と、とりあえず理解できるのです。
昔、哲学を勉強しはじめた頃にこの本があったら、もっと早くスムーズに理解できただろうなと思います。
哲学を学ぶときのポイントは、哲学用語を少しでも多く仕入れることです。ざっくりとわかっている言葉をたくさん増やすと、哲学が身近になっていきます。 そして、哲学家たちの思想や概念を、現代を生きる自分の人生にどうアレンジして引き寄せればいいか考えてみる。そこまで考えてはじめて、哲学を学ぶ意味が生まれるのです。
哲学を自分事として考えるコツは、学んだ内容を要約してみることです。たとえば私が研究していた現象学は、「物事を決めつけずに現象を丁寧に見る学問」と言えば誰でもわかりますよね。あえて言うなら、風景画を描く画家のようなものです。
自分の目の前に現れる象(かたち)の色、光、影など知覚したものを、そのまま絵に描いていく。そのようなことが、絵画でなくても自分にできるかどうか。現象学の概念を技として身につけて自分で使いこなすことができるようになれば、それが自分の人生哲学になります。
自分が苦手なことを哲学で克服して人生に活用することもできます。人との対話が苦手な人は、ヘーゲルの「弁証法」の基本概念「アウフヘーベン」を学ぶといいでしょう。これはダイアローグ、対話と同じ意味なので、弁証法とは対話法のことなのです。
ヘーゲルはこの「アウフヘーベン」を、「テーゼ(正)」と「アンチテーゼ(反)」の2つの対立し合う関係によって、より高度で新しいアイデアを生み出す状態へと高めていく対話法と定義づけしました。








