膨大な「研究成果」から最も有用な情報を追求
「一人ひとり生まれもったよさを失わずに、その子らしい成長を遂げられるためにはどうすればよいか」については、心理学、教育学、精神医学、脳科学をはじめ、これまでさまざまな学術領域で研究が重ねられてきました。
もちろん、広く知られている通説であっても、すべての子どもに当てはまるとはかぎりませんし、新しい研究によって常識が覆されることもあります。
それでも、先人たちが積み重ねてきた膨大な研究の成果は、子育てに悩んでいるとき、不安で心配なときに、心強い指針となります。
残念ながら、世間にあふれている情報は玉石混淆です。子どもの視点に立った、子どものためになる情報もたくさんある一方で、子どもに過度な負担をかけたり、かえって子どもの成長を邪魔したり、大人の都合やエゴが優先され、子どもの気持ちをないがしろにしたりしているものも少なくありません。
日々、時間に追われながらも、「わが子にどんなことをしてあげればいい?」と悩む親御さんが多いいま、誰かが一度、情報の整理をしたほうがいいのではないか。教育のプロでもない、カリスママザーでもない私ですが、だからこそ普通の親目線でわかりやすく、客観的な立場で有用な情報をまとめられるのではないか──。
そうした思いから、私は本書をまとめました。
「3つのOK」で気軽に読めるベストの具体策
本書では「コミュニケーション力」や「自己肯定感」「創造力」といった非認知能力を伸ばす方法から、「家庭学習」「遊び」「習い事」「読書」「食事」「運動」「睡眠」まで、子どもにまつわるあらゆることについて、ベストの「100の方法」(詳細は目次をご参照ください)を厳選しています。
とくに「子どもがどんな行動をとることが重要か」、そして子どもにそうした行動を無理なくうながすには、「親やまわりにいる大人は何をすればいいか」という具体性にこだわり、すぐに実践できるコツをまとめています。
ぜひ以下の「3つのOK」にしたがって、肩ひじをはらず、気楽に読んでみてください。
(1)どこから読んでもOK
前から順に読み進める必要はありません。6つのカテゴリの中で気になるところだけ、あるいは目次を見ながら興味のある項目だけかいつまんで読んでも、どんな読み方でもOKです。
(2)全部できなくてOK
全部を実践する必要はありません。「反抗期で手を焼いているけど、接し方を変えてみようかな」とか、「不安そうにしているから、こんなふうに声をかけてみようかな」とか、目の前のお子さんに合わせてひとつ実践するだけでも、子どもはコロッと変わることがあります。
(3)すぐに効果が見えなくてOK
子育てに万能の魔法はありません。本書の方法も、お子さんのタイプやそのときどきの状況によって、うまくフィットしないこともあります。それでもあせらず、じわりじわりと続けてみたり、あるいは他のページも参考にして、別のアプローチを試してみたりしてください。
変化が感じられないときはむしろ、「おぉ、そうきたか! 一筋縄ではいかないところに大物感があるぞ」くらいの気持ちで。
「3歳~小学6年生」を中心に、ずっと使える
本書は、会話ができるようになる3歳くらいから小学6年生くらいまでの子どもを想定して書いています。
とはいえ、中学生以上のお子さんにも十分通用します。わが家にも2人の高校生がおり、この本を書きながら、「もっと早くから意識してあげていればよかった(涙)」と思うことがあったと同時に、「意外とまだまだ使える」と手応えを感じたこともたくさんありました。
「うちはもう手遅れ」なんて思わずに、多くのお父さん、お母さん、そして子どもに関わるあらゆる方々に読んでいただけるとうれしいです。
この本を通じて、子育てがもっと楽しく面白く、ハッピーな時間になりますように。
(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』からの抜粋です)
■新刊のご案内
ハーバード大、スタンフォード大、シカゴ大……一流研究者の200以上の資料×膨大な取材から厳選した「最も子どものためになること」とは?
家庭学習/遊び/習い事/ほめ方/叱り方/読書/英語/スマホ対策/学校選び/食事/睡眠/スポーツ……これからの時代に最も必要な力が伸びる「一番いいメソッド」全収録!
■目次
はじめに――「一番子どものためになること」を厳選しました
SECTION 1「コミュニケーション力」をつけるには?――早くから「言葉のシャワー」を浴びせてあげる
01「対話」をする――質問・反論で考える力を磨く
02「聞く力」を身につける――学力にもつながる大事な能力
03 子どもの話を聞く――否定せずに言葉を引き出す
04「ごっこ遊び」をする――遊びでさまざまな力を身につける
05「スキンシップ」を大切にする――脳にも心にもいい「やさしい刺激」
06 叱る――叱るときは具体的にわかりやすく
07「根拠のない自信」をつける――強く生きていくための大切な力
08「読み聞かせ」をする――集中しなくても気長に読めばいい
09「楽しい週末」を過ごす――週末の交流で多様な価値観に触れる
10「しぐさ」を読みとる――体からのメッセージを拾ってあげる
11 話を「しっかり」と伝える――どんな言い方がいちばん伝わる?
12「ケンカの仲裁」をする――ケンカも学びの場にできる
13「感情」をコントロールする――コミュニケーションの核となる力
14「スマホのルール」をつくる――依存のリスクから子どもを守る
15「家族会議」を開く――子どもと話す機会をつくる
16「挨拶」をする――義務ではなく、楽しめるように
17「プレゼン力」を鍛える――うまく話せる「型」を手に入れる
18「手本」を見せる――親も子どもと一緒に成長する
SECTION 2「思考力」をつけるには?――「考えるチャンス」を最大限に増やす
19「好きなこと」を見つける――機会がなければ見つからない
20「観察眼」を磨く――生まれながらの能力を伸ばす
21「オープン・クエスチョン」をする――「WHY」「HOW」「IF」を上手に使う
22「考えるきっかけ」をつくる――思考をうながす言葉がけとは?
23「失敗」を成長の糧にする――信じて自分で立ち直らせる
24「深掘り」の意欲を伸ばす――成績より過程に注目する
25「アナログ」のゲームで遊ぶ――夢中になりながら頭を使う
26「金銭感覚」を身につける――自己管理を体験する
27「やり抜く力」を養う――努力と情熱がものをいう
28「男女の違い」に対応する――特徴を知って能力を伸ばす
29「子ども扱い」しない――子どもに「敬意」をもつとは?
30「思考」を掘り下げる――「デザイン思考」を体験する
SECTION 3「自己肯定感」をつけるには?――変化に強い「折れない心」をつくる
31「良質な睡眠」をとる――日本の子どもは睡眠が足りない
32「多様な視点」を手に入れる――ひとつの正解だけをめざさない
33「自制心」をもたせる――自分を抑える技術を知る
34「レジリエンス」を鍛えるーー強く生きていける「心の筋肉」
35「感謝の心」を育てる――心を豊かにする感謝のスキル
36「なんでも言える環境」をつくる――勇気をもって甘やかす
37 家族の「一戦力」にする――まかせて、感謝する
38「習い事」をする①――習い事を選ぶ
39「習い事」をする②――スケジュールをゆったり組む
40「習い事」をする③――お金のやりくりをする
41 受け入れる――無条件で認めてあげる
42 決めつけない――「値踏み」で可能性をせばめない
43 押しつけない――「いい距離感」で接する
44「家族旅行」をする――成長に大切な非日常体験
45「小さな喜び」を味わう――つらさに打ち勝つ「お楽しみの貯金」
46「強み」に注目する──注目すれば伸びていく
47「生き物」を飼う──「お世話」でやさしい心を育てる
SECTION 4「創造力」をつけるには?――柔軟な脳にたくさんの「刺激」を与える
48「楽器」を習う──楽しんで創造力を伸ばす
49 本物を「体験」する──体を動かして五感を刺激する
50「型」にはめない──口をはさむのをぐっとこらえる
51「ゲーム」とつきあう──ゲームをコミュニケーションに生かす
52「好奇心」を伸ばす──親自身が「ワクワク」を追求する
53「肯定表現」で話す──ネガティブな思考を切り替える
54「アート」に触れる──気軽にいろんな感想を語る
55「没頭」させる──フローに入るのを邪魔しない
56 つくる&試す──手を動かしながら答えを見つける
57「想像力」を豊かにする──いまの「無駄」が将来の力になる
58「瞑想」する──親子でやれば楽しくできる
59「ぼーっ」とする――子どもは意外と疲れている
60「本」で囲む――読書は地頭をよくする万能の習慣
61「落書き」をする――脳の非集中モードで創造力がアップ
SECTION 5「学力」をつけるには?――効果的なフィードバックで「やる気」を引き出す
62 子どもの「タイプ」を知る――タイプに合わせて学習法を選ぶ
63「算数力」をつける――楽しみながら数字を身近にする
64 一緒に「計画」を立てる――計画立案で実行機能を伸ばす
65 書く①――書くことを「好き」になる
66 書く②――「日記」をつける
67 書く③――「文章の型」を知る
68 勉強を「習慣」にする――無理なく楽しく続ける方法
69「プログラミング」を学ぶ――試行錯誤で頭を鍛える
70 くりかえす――変化と負荷を上手に加える
71「語彙」を増やす――いろんな理解をラクにする基本の力
72「無駄」を削る――勉強を合理化して「余裕」をつくる
73「英語」を身につける――英語を「遊び道具」にしてしまう
74 子どもに教わる――人に教えると「知識」が頭に入る
75 時間をあけて「復習」する――覚える科目に最適の方法
76 ほめる――何をほめるかで大きく変わる
77「フィードバック」する――ポジティブに課題を伝える
78「優先順位」をつける――ふせんで行動を整理する
79「音読」する――間違ってもいいから「楽しく」読む
80「ごほうび」をあげる──モチベーションを上げる報酬
81「やる気」をつくる──「自分からやる」意欲を引き出す
82「サポート」する──過干渉にならない支え方
83 一緒に「学校」を決める──実績だけで選ばない
84「自分のスペース」をもつ――ポテンシャルを伸ばす環境とは?
85「早寝早起き」をする――脳のために十分な睡眠をとる
86「集中力」をつける──集中できるのはせいぜい15分
SECTION 6「体力」をつけるには?――「栄養と運動」で脳と体を強くする
87 バランスよく「栄養」をとる――よい食事のシンプルな本質
88「おやつ」をあげる──糖質より脂質に気をつける
89「朝ごはん」を食べる──シンプルなパターンをつくる
90「外食」を楽しむ──親子でリラックスできる貴重な機会
91「好き嫌い」をなくす──苦手があるのは自然なこと
92 一緒に「料理」をする──五感を育む刺激的な体験
93「お弁当」をつくる──愛情をこめつつ、手間は少なく
94「旬」を生かす――自然のサイクルを食事にとりこむ
95「惣菜」を活用する――塩分と油に注意して賢く使う
96「免疫力」をつける――病気になりにくい体をつくる
97「体」を動かす――ケガをしにくい体をつくる
98「スポーツ」をする――マルチな競技をのびのび楽しむ
99 噛む力をつける――よく噛むと頭も体も強くなる
100「目」を守る――スマホ時代にケアすべきこと