インボイスを発行してくれない取引先。自身の負担は増える。値下げを要請すれば、場合によっては独占禁止法違反で問題となりかねないが、その線引きはあいまいだ。特集『10月から本番!大混乱必至! インボイス&改正電帳法 最新対策マニュアル』(全16回)の#5では、巨大企業の日本たばこ産業(JT)もやらかした過剰値引き問題とその回避策を解説する。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
独禁法に“うっかり”抵触するリスク
NGにならないよう交渉する方法とは?
インボイスとはそもそも何か?という疑問さえ解消しないまま、自らの負担を回避しようと取引先にむやみに値下げを求めると、独占禁止法や下請法違反となってしまう恐れがある。
公正取引委員会は5月、取引先の免税事業者に対して一方的に値下げを通告するなどした課税事業者に対し、それまでに10件程度の注意を行ったと明らかにした。
この10件程度に含まれているとみられるのが、JT(日本たばこ産業)だ。JTは免税事業者でインボイスの発行義務がない葉タバコ農家に対して一時、タバコの葉を買い取る際に消費税額分を差し引いた価格で代金を支払うと伝えたと、8月に朝日新聞が報じた。
JTの件は後述するとして、インボイス発行事業者は、免税事業者のままの取引先と一体どのように価格交渉すればいいのか。