10月から本番!大混乱必至! インボイス&改正電帳法 最新対策マニュアル#6写真:田中正秋/アフロ

インボイス対応は面倒な仕事だが、思わぬ副次的効果を得ている企業も出ている。特集『10月から本番!大混乱必至! インボイス&改正電帳法 最新対策マニュアル』(全16回)の#6では、経理業務の大幅な効率化に成功した、国内造船最大手の今治造船の例を紹介する。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

「週刊ダイヤモンド」2023年9月30日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

経理担当者だけではない
営業、仕入れ、全社員に影響大

 10月1日から始まるインボイス制度は、消費税の新ルールが導入されるため、企業に務める社員が日々行う経費精算にも影響する。請求書や領収書を処理する財務や経理の担当者やフリーランスで働く人だけが対応するものと捉えられがちだが、企業で働く全ての社会人は、知っておかなくてはならない。

 制度について理解できていない人は、本特集#1や#3で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてほしい。

 制度の中身は、財務や経理の担当者でさえも「理解するのは苦労した」という声が上がるほど、複雑でややこしい。制度を理解した上で社内に浸透させ、業務フローを見直す作業は、根気のいる仕事だ。

 だが、先んじてこうしたインボイス対応を進めてきた企業の中には、経営効率化やコスト削減に成功するなど、副次的な効果を得たという実例もある。次ページでは、そんな実例の一つである、今治造船のケースを紹介しよう。

 同社は建造量で国内首位、世界3位の独立系造船会社。国内には10工場を抱える。各工場では地域経済に貢献すべく、地元の中小企業との取引を大切にしている。今回のインボイス対応では、そうした方針ゆえの苦労もあったようだ。