10月から本番!大混乱必至! インボイス&改正電帳法 最新対策マニュアル#12Photo:PIXTA

ただでさえ人手不足の建設技術者やタクシー運転手らに、インボイス制度による負担増が襲い掛かる。正当な価格転嫁ができればいいが、発注者側も苦しい業界はどうなるのだろうか。特集『10月から本番!大混乱必至! インボイス&改正電帳法 最新対策マニュアル』(全16回)の#12では、各業界が直面する現状を取り上げる。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

「週刊ダイヤモンド」2023年9月30日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

大阪・関西万博にも影響
建設業界にもインボイスが打撃に

 資材価格と共に、人件費の高騰が従来指摘されてきたのが建設業界である。

 2025年開催予定の大阪・関西万国博覧会の海外パビリオンなどの工事の遅れは、万博協会などの段取りの悪さもさることながら、建設工事に携わる技術者が絶対数として足りないことも要因だと指摘されている。

 こうした現場で働く技術者はそもそも、ゼネコンに直接雇用されているわけではない。

 建設業界では「重層下請け構造」と呼ばれる、元請けのゼネコンが、さまざまな工事を専門とする1次、2次、3次の下請け業者に請け負わせる手法が一般的だ。

 建設工事で求められる技術者は、高所で鉄筋などを組み立てる「とび職」、コンクリートを流し込む型枠を作る「型枠工」など多岐にわたる。3次以下の下請け業者となれば、従業員が数人の零細企業や、従業員を雇わない技術者である「一人親方」であるケースも多い。

 免税事業者も当然多く含まれており、今後は取引先からインボイスを発行するよう求められる可能性がある。

 建設業界だけではない。人手不足に苛まれるあらゆる業界において、フリーランスの立場にある人々にインボイスの負担が直撃する。業界別の現状と課題に迫った。