今後、国際自動車ショーは従来のような形ではなく、各国の国威発揚の場か、あるいは自動車にプラスしたモビリティ産業のコンセプトを発信する場という性格をますます強めていきそうだ。
その意味でも、東京モーターショー改革として、ジャパンモビリティショーが『日本発』のモビリティの未来を世界に発信するという新たなショーイベントへ方向転換することへの成否が注目されよう。
今回の自工会会長会見では、豊田章男自工会体制での7人の副会長が章男会長とともに勢ぞろいして会見に臨んでいる。章男会長は再登板以降、自身の強いリーダーシップの下、東京モーターショー改革だけでなく自工会自体の改革も進めてきたが、その結束力を示す姿勢が改めて垣間見えた。
さらに章男会長は、22年に日本財界の総本山である経団連に創設された「モビリティ委員会」の共同委員長に、有馬浩二デンソー会長、十倉雅和経団連会長らとともに就任している。今回のジャパンモビリティショーへの衣替えも、自動車業界だけでなく経済界全体のバックアップを得られるように、章男会長が産業界に働きかけをしたと考えるのが自然だ。
その豊田章男自工会体制だが、異例の3期目続投中であるものの、今回のジャパンモビリティショーの成功を花道として来年5月には次の会長に譲ることが確実視される。
従来、1期2年の自工会会長のポジションはトヨタ・ホンダ・日産が持ち回りで務めてきた。しかし、今回の章男会長が慣習から外れる3期6年の任期を務めたことと、副会長に乗用車、商用車、軽自動車、二輪車の各ジャンル代表が就任していること、現在の筆頭副会長が商用車代表の片山正則いすゞ会長であることから、必ずしもトヨタ・ホンダ・日産からの会長選出にこだわらないこともあり得る状況だ。
その意味では次のフェーズとして、章男会長の後任の動きが注目されることになるだろう。また、豊田章男会長自身の今後の去就も、今年2月に死去した父の豊田章一郎氏も経団連会長を歴任していることから、登板が度々うわさされる経団連会長という「財界総理」に向かうのかどうかが注目されよう。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)