モノや情報に囲まれていることは、本当にいいこと?

 昔と今のいちばんの違いは何かといえば、選択肢の多さでしょう。

 現代の日本人は、実に多くのモノ、食、情報に囲まれています。“食”1つとっても、スーパーマーケットに行けば、和食の材料だけでなく、イタリアンや中華食材のコーナーもあり、すぐに食べられるものから、調味料、生鮮食品まで、ありとあらゆる商品が所狭しと並んでいます。スーパーだけでなく、惣菜店にレストラン、そしてコロナ禍で広がった「ウーバーイーツ」のようなデリバリーもあって、いつでもどこでも好きなときに食事ができるようになりました。

 なんて豊かで便利な世の中なのだろう、そう思っている人も多いと思います。

 ただ、一見素晴らしいと思えるこの状況も、実は自律神経の面から見ると、あまりいいこととはいえません。なぜかといえば、選択肢が多ければ多いほど、「迷い」が生まれ、それがストレスの要因になるからです。

 みなさんも、自分の1日の行動を振り返ってみてください。私たちが日々の暮らしのなかで、知らず知らずのうちに、いかに「選択」を繰り返しているかに気づくはずです。

 コンビニでジュース1本買うのにも、「現金で買うのか、ICカードで払うのか、キャッシュレス決済にするのか」「現金なら、千円札を出しておつりをもらうか、小銭で払うか」など、実にたくさんの選択をしているのです。実際、みなさんもレジ前で小銭入れやスマホが見つからず、あたふたした経験はありませんか。いっそのこと、全部キャッシュレスにしてくれればストレスはかからないのですが、まだ日本はそこまで進んでいません。

世の中が「交感神経優位」の状態になっている

 新聞、雑誌、テレビ、インターネット、SNSなど、情報を入手する先もとても多い。現代がストレス社会である最大の要因は、情報が多すぎること。情報がありすぎるから、ストレスが増える。それに尽きると私は思います。

 今、YouTubeやNetflixなどの動画を、倍速視聴する人が増えています。倍速視聴をすること自体は、特段悪いことではありません。時間を有意義に使えますから、仕事でいろいろな情報を得るためには有効だとも思います。