巨大な盆栽のような紅葉山
一休みして飲むコーヒーは格別
イラストレーターの中村さんが、その姿に惚れ込んだのが、奥久慈(おくくじ)男体山(なんたいさん)である。
「握りこぶしみたいにどんと立っている岩に、紅葉が貼り付いて、まるで大きな盆栽みたいなのです。イロハモミジやカエデ、ナラなどが色とりどりで、困ったな、絵具の色が足りないなと思うほどです」
男体山の登山口大円地からは、くさり場のある健脚コースと一般コースが選べる。経験者といっしょでなければ一般コースを選ぶのがいいだろう。
中村さんは、リュックの中にいつも、バーナーとコッヘル(野外用の小鍋など調理用具)を入れている。
「男体山のように日帰りができる山でも、頂上で一休みして、湯をわかしコーヒーを淹れると心身ともにくつろげます。山で食べるとインスタントラーメンも高級フレンチのようにおいしい」
日常生活から、便利な暮らしからはなれ、脚をたよりに大自然の山にやってくるからこそ味わえる、ぜいたくなひとときである。