巨大な盆栽のような紅葉山
一休みして飲むコーヒーは格別

 イラストレーターの中村さんが、その姿に惚れ込んだのが、奥久慈(おくくじ)男体山(なんたいさん)である。

登山歴60年の達人が絶賛する6つの秋山、紅葉が黄金色に輝く桃源郷山を愛するイラストレーター、中村みつをさん 写真提供:本人

「握りこぶしみたいにどんと立っている岩に、紅葉が貼り付いて、まるで大きな盆栽みたいなのです。イロハモミジやカエデ、ナラなどが色とりどりで、困ったな、絵具の色が足りないなと思うほどです」

 男体山の登山口大円地からは、くさり場のある健脚コースと一般コースが選べる。経験者といっしょでなければ一般コースを選ぶのがいいだろう。

 中村さんは、リュックの中にいつも、バーナーとコッヘル(野外用の小鍋など調理用具)を入れている。

「男体山のように日帰りができる山でも、頂上で一休みして、湯をわかしコーヒーを淹れると心身ともにくつろげます。山で食べるとインスタントラーメンも高級フレンチのようにおいしい」
 
 日常生活から、便利な暮らしからはなれ、脚をたよりに大自然の山にやってくるからこそ味わえる、ぜいたくなひとときである。

「錦の紅葉」の中、汗をかいて山頂へ向かう「錦の紅葉」の中、汗をかいて山頂へ向かう Photo by M.N.
中村さん曰く「巨大な盆栽」のような男体山中村さんいわく「巨大な盆栽」のような男体山 Photo by M.N.