「インフレ税」加速しかねない経済対策“想定外の増収”の正体Photo:Anadolu Agency/gettyimages

10月に経済対策とりまとめ
ホームメイドインフレの懸念

 岸田文雄首相は、経済対策を10月末にまとめるよう指示した。

 対策の5本柱は、(1)物価高から生活を守る対策(2)持続的賃上げ、所得向上と地方の成長(3)成長力強化に資する国内投資促進(4)人口減少を乗り越える社会変革(5)国土強靱(きょうじん)化―など安全・安心の確保となっている。

 自民党内からは、対策を盛り込む2023年度補正予算は15~20兆円の規模が必要との声がでている。

 だが、コロナ禍からの景気回復で需給ギャップもプラスに転じた状況で、大規模な財政出動が必要なのかどうか。

 岸田首相は「想定外の増収」を「成長の成果」として国民に還元するといっているが、そもそも今回の増収(さらにはそれも含めた剰余金)は、インフレで所得税や消費税などの名目の税収が膨らんだのと、コロナ対策などで計上された巨額予備費を使い切れなかったことにより生まれたものだ。

 新たな大規模財政出動はホームメイドインフレにつながる可能性もあり、物価上昇に賃金の伸びが追い付かない状況が続く国民にとっては、インフレの負担がさらに重くなることになりかねない。節度ある経済対策が必要だ。