副業コンサルタントとして、主宰の副業・起業スクールで多くの副業家を輩出・支援してきた下釜創氏は、「一生後悔しない副業の始め方、選び方、続け方」があると言う。下釜氏のはじめての書籍やりたいことは「副業」で実現しなさいでは、「あなたのなかにすでにあるスキル、眠っているスキルを活かした副業」を目指そうと説く。本連載では、話題の書の中から具体的なスキル、考え方を紹介していく。今回は、「絶対に成功する副業の見つけ方」についてです。

【副業コンサルは知っている】副業で成功するスキルをみつける、たった一つの考え方Photo: Adobe Stock

もっともお薦めの副業は、スキルエンサー副業です

 多くの副業家を支援してきた私がお薦めしたい副業があります。

 それが連載でも紹介した、「スキルエンサー副業」です。

「スキルエンサーって何? インフルエンサーなら聞いたことがあるけど?」そう思う読者が大半だと思います。

 インフルエンサーという言葉は、女性アイドルグループの流行歌のタイトルに使われるほどポピュラーなもの。SNSといったメディアを介して、多くの人に影響(インフルエンス)を与える人たちのことを指しています。フォロワーの数が多く、影響力が極めて強いユーチューバーやインスタグラマーがその代表格です。

 インフルエンサーを本業として成功している人の名前は、各種メディアで毎日のように目にします。ですから、そんな生き方、働き方に憧れを持つ人も多いでしょう。

 いまからインフルエンサー的な生き方、インフルエンサー副業を志す手もありますが、その成功率は高くはないでしょう。競争と淘汰が激しい分野ですし、多くの人がこれから新たにインフルエンサーになれる確率は極めて低いからです。(影響を与える人の数が増えすぎたら、その影響に従う人の数は相対的に少なくなり、インフルエンサーという存在自体が危うくなります)

スキルエンサーとは、スキル=その人が持つ技術とそれに伴う経験を価値に変えて提供する働き方

 インフルエンサーとは違うことはわかったとして、スキルエンサーというのは一体どういう働き方なのでしょう。

 話はとてもシンプルです。

 スキルエンサーとは、スキル=その人が持つ技術とそれに伴う経験を価値に変えて提供する働き方。それを副業とするのが、スキルエンサー副業です。

 スキルのうちでも、好きで得意でやりがいを感じるものを選び、先行して副業として成立しているかどうかをチェックします。複数の成功例があれば、そこに需要があり、レッドオーシャンである証拠。その成功例を真似ることで成立するのが、スキルエンサー副業なのです。

あなたの気づかないスキルギャップにスキルエンサーとして活躍できる余地があります

 副業を始めるなら、スキルや体験を活かしたスキルエンサー副業がいいと助言すると、次のような疑問の声が上がります。

〇高度なスキルがないと難しいのではないか
〇自分が価値として提供できるスキルはなさそう

 はっきり言いましょう。それは、どちらも杞憂。スキルエンサー副業は、高度なスキルや豊かな体験を持っている人しかできない副業ではないのです。

 スキルエンサー=高度なスキル・豊かな体験の持ち主という誤解は、スキルや体験に関する誤解に由来していると私は思います。

 営業スキル、動画編集スキル、表計算スキル、事務スキル、秘書スキル、人材育成スキル、片付けスキル、ヨガスキル、コーチングスキル、カウンセラースキル、占いスキル、スマホスキル、写真スキル、パワポスキル……。これまでの学び、仕事、趣味などを通して、誰でも何かしらのスキルを身につけています。

 こうしたスキルを価値として提供するのが、スキルエンサー副業です。

スキルピラミッドの4つの層

 多くの人たちは、「自分は確かに営業畑が長いけど、営業スキルと呼べるほどのものを持ち合わせていない」とか「動画編集は一応できるが、もっと上手な人はたくさんいる」といった感覚に陥りがち。だからスキルエンサー副業は無理だと思い込んでいるのです

 それが間違いのもとです。

 縦軸にあるスキルのレベル、横軸にそのスキルを持つ人の数を取り、「スキルピラミッド」を描いたとしましょう。そして、下段から、スキルなし、初級スキル、中級スキル、上級スキルという4つのレベルに分けてみます。

【副業コンサルは知っている】副業で成功するスキルをみつける、たった一つの考え方

 高度なスキルを持つ人ほど数は少なくなります(だからピラミッド型を描くのです)。ここでもっとも分厚い分布は、いちばん下段の「スキルなし」層です。

 大半の人がスキルなしだとしたら、「自分なんて初心者」だとか、「一応できるけど、もっと上手な人がいる」といった人たちも、スキルなしの階層に対しては十分にスキルを提供できます。この状況を、私は「スキルギャップ」と名付けています。

 たとえば、ネイティブには笑われるレベルの英語力でも、アルファベットを習い始めたばかりの小学生よりもずいぶんスキルがあります。ネイティブ並みに英語がペラペラでないと、英語というスキルが役に立たないわけではないのです。スキルギャップが少しでもあれば、誰でもスキルエンサーになり得ます。

会社員=スキルギャップの持ち主=スキルエンサー予備群

 ことに、会社員は多くのスキルを持っていますから、スキルギャップを活かしてスキルエンサー副業を立ち上げることができます。

 その意味では、会社員=スキルギャップの持ち主=スキルエンサー予備群と言っても過言ではないでしょう。

 ただし、多くの会社員は、まわりが同じようなスキルを持っている人ばかりで、スキルギャップの存在に気づきにくいのが現状。

 自らがスキルエンサー予備群という自覚に乏しいままなので、副業へと新たな一歩を踏み出しにくいという事情があります。

 たとえば、長年営業職を続けてきて、新たな商品・サービスをクライアントに向けて説明するために、「パワーポイント」で毎週のようにプレゼンテーションのための資料をつくり続けていたとしましょう。

 本人にとってはいつものルーティンワークであり、自分の同僚たちも難なくこなしているカンタンな作業だという思い込みが強いかもしれません。

 でも、パワーポイントをまったく触ったことがない人、プレゼンを一度もしたことがない人にとっては、そういう営業マンは“パワポマスター”“プレゼンマスター”と呼びたくなるようなスキルエンサーです。

 同じように、会社の経理部ではイマイチ要領が悪く、先輩方から落ちこぼれのレッテルを貼られているとしても、経理のケの字も知らない人にとってはスキルエンサーです。同じく会社の法務部では劣等生扱いされているとしても、法律と無縁の人たちにとってはスキルエンサーになり得るのです。

(本記事は、『やりたいことは「副業」で実現しなさい』より、一部を抜粋・編集したものです)