「尻すぼみ」で凋落する組織と「尻上がり」でシナジーを生む組織の決定的な違いとは?Photo:PIXTA

複数のメンバーやアクションによる協働成果や相乗効果、いわゆるシナジーを生み出すことが重要だとよくいわれる。しかし、どこからシナジーが生まれるかが分かっていないと、掛け声倒れになってしまう。シナジーの対象を簡単に特定する三つのマトリックスを提供しよう。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

相乗効果が生まれない
組織の問題点とは?

 アクションを起こしても、他のメンバーや組織に広がらずに、成果が高まらないことがある。一方で、他部門にも影響を与え、広い範囲で次々と連鎖的に成果が生まれる組織もある。複数の人が協働した結果、1+1が2にしかならないこともあれば、相互に影響し合って1+1=3になるケースもある。

 ビジネスにおいては、「シナジーを創出しよう」「相乗効果を生もう」「良い循環を回そう」とよく言われる。しかし、何をどうすればよいかという具体的な手順が分かっておらず、掛け声倒れになっていないだろうか。

 実行策が単発で尻すぼみになってしまい凋落(ちょうらく)する組織と、複数の実行策が相互に良い影響を与え合い、相乗効果を生んで躍進する組織とは、何が違うのだろうか。

 このように申し上げると、「担当者の能力の問題だ」「個人の能力を高めるしかない」という見解によく接する。もちろん、担当者が他のメンバーや部門を巻き込んで取り組めるかどうかは、大事な要素だ。

 しかし、担当者の能力にかかわらず、誰でもシナジーを創出できる対象を特定でき、そこに働きかけて成果を生む循環を回せる方法があるとすれば、活用してみたいと思わないだろうか。そのために役立つ三つのマトリックスがある。

 次ページ以降では、それらのマトリックスを用いて、シナジー創出のポイントを見ていこう。