ガソリン補助金はやめられない懸念、「近視眼的物価政策」の根本的欠落Photo:PIXTA

経済対策に矛盾と欠落
気候変動や金融緩和是正は素通り

 岸田文雄政権は、10月末をめどに物価高への対応や持続的な賃上げなど「5本柱」の経済対策を取りまとめようとしている。

 筆者は、5本柱という内容を見たとき、いくつかの違和感を抱いた。特にガソリンや電力・ガス代への補助金を軸にした物価政策には異論がある。

 物価高への対策を政府が掲げるのは合理性があると思うが、食料品価格値上がりなどの消費者の負担増をそのままにしておいて、ガソリンなどへ価格補助を行っているのはおかしい。

 生鮮食料品の価格上昇やエネルギー問題はCO2排出などによる気候変動(地球温暖化)問題と密接に結び付いている。また今回の物価上昇は日本の場合、日本銀行の金融緩和策が円安を生み、インフレを加速しているという問題がある。

 政府の物価政策にはこれらの視点が欠如している。

 脱炭素化を意識した「出口」をきちんと作っておかないと、ガソリン補助金をやめられなくなるし、金融緩和の「副作用」は金融村の中だけでなく、経済全体の問題としてきちんと考える必要がある。