イスラエルの駐在員を
国外退避させるべきか
問い合わせの内容は、大きく二つである。
一つが、駐在員を国外退避させるかどうかだ。現時点の情勢を考慮すれば、事態がすぐに収束する可能性は低く、軍事力ではイスラエル軍がハマスより優勢にあったとしても、イスラエル北部では隣接するレバノンの親イラン武装勢力ヒズボラも攻撃を強化する傾向にあり、何より駐在員の安全を考慮すれば、既に国外退避する状況にあろう。
既に国外退避を進めている企業もあるが、筆者も駐在員とその帯同家族を早期に退避させるよう伝えている。日本へ帰国させることが重要だが、何よりもまず重要なのは安全な近隣国に退避することであると伝えた。
また、10日時点で、ルフトハンザ、エールフランス、ウィズエアー、デルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッドエアラインズなどが相次いでイスラエル便のフライトを停止しており、状況が悪化すればその数は増え、航空券購入でパニック状態が生じることから、早急な判断が必要だとアドバイスしている。
外務省のリスクレベルだけでは
退避が遅れる恐れも
もう一つが、今後イスラエルへの進出を考えており、社員を出張させようとしているが、いつごろ事態が収束するかという相談だ。
事態が収束しない限り出張は控えるのは大前提だが、イスラエルはテクノロジーで先端を走る中東のシリコンバレーであり、イスラエルを重視する日本企業は増えている。
しかし、これについても現時点では収束の兆しは見えず、たとえ事態が収束してもしばらくは状況を注視し、出張は極力控えるよう呼び掛けている。
また、外務省の海外安全情報、リスクレベルを基準に駐在員の退避や出張を考える企業が多い。それが第一の基準であることは事実だが、情勢が悪化してもすぐにリスクレベルが引き上げられるとは限らない。
今回も、ガザ地区のレベルが最も危険なレベル4に引き上げられたのは10日であり、今回の事態の発端となった7日のハマスによる奇襲攻撃から3日が経過した後だ。