日本人の英語熱は明治維新の頃から高まり続ける一方、英語学習を「つらい」と感じる人はいまだ多い。そういった無邪気な学習者たちに笑顔を取り戻してもらうべく、仕事ができない社員や、愛社精神の低い社員、窓際族などによる非エリート風の言い訳や失敗をまとめた書籍『ろくでもない英語の言い訳300』が刊行される。ネイティブもあきれかえる、職場では絶対に使えないその内容とは? 同書から特別に一部を公開する。

ろくでもない英語の言い訳300イラスト:村上テツヤ

「控えめに言っても推しが最高なので、残業できません」
“To say the least, my fave is the best, so I can’t work overtime.”

 推し活動家にとって、最も尊いのは推し。人生のすべてが推しを中心に回っているため、推しが最高である限り残業がはかどることはありません。頼んだところで塩対応されるだけですので、残業が発生しない働き方改革を推し進めましょう。かつての労働組合員のように現在は推し活動家によって労働環境が改善され、代わりに春闘を戦う日も近そうです。

断固として残業を断る、その他のフレーズ

「サービス残業をすることでこれまでの関係が変わってしまうことが怖いので、帰ります」
“I’m afraid that working overtime unpaid might change what we have. So I’ll go home.”

 一般的に人間は変化を恐れる動物ですが、これは「恒常性維持」の本能によるといわれています。せっかく定時帰りが板についてきたところに水を差されたらおもしろくありません。ここは本能に従い心を鬼にして残業を断りましょう。

「無課金で残業? ムシがよすぎません?」
“You want me to work overtime free of charge? That’s way too selfish, isn’t it?”

「サービス残業」は給料が発生しないのに、「サービス料」は料金をきっちり払わされる。日本語の難解さと欺瞞(ぎまん)を感じる瞬間ですが、そんな曖昧な言葉ではなく、企業には今どきかつ直接的な意味合いを持つ「課金」システムの導入をおすすめします。

「値引きシールが貼られる頃なので、帰ります」
“It’s about time the products get discount stickers put on them, so I’m leaving now.”

「この時間ならまだ30%オフだから、半額シールになるまで残業してくれない?」

(本稿は、『ろくでもない英語の言い訳300』を抜粋、再構成したものです)