専門分野の企業が集い
強力なメッセージを発信

 「空き家所有者の置かれた状況はさまざまで、解体(除却)の専門家である当社だけでは、支援できる範囲は限られてしまう。ニーズに適切に対応するには、多様な領域のプロフェッショナルが集まることでサポート力が高まり、また行政側も対応しやすいのではないか」

 呼びかけ人となったクラッソーネの川口哲平氏は、コンソーシアム設立のきっかけを語る。

 コンソーシアムは、不動産ポータルサイト運営、不動産仲介、建材設備、土地活用等大手企業と銀行・大学・ベンチャーなど、11団体がいち早く賛同し、設立された。 

 活動内容としては、国、自治体、報道機関、独立行政法人、学術機関などの関係諸団体に情報発信や政策提言、意見交換などを行い、連携・協力を深めていく。空き家問題に業界として向き合うことで、企業の社会的責任を果たすとともに、持続可能なESG経営を推進することを目的としている。

 初年度は、勉強会や各種オンラインセミナーを中心とした活動を実施する予定で、例えば、コンソーシアム参画企業によるオンラインセミナーでは、相続・売却・解体・管理など、空き家に関するさまざまな分野での情報収集に役立つイベントが計画されている。 

 こうした取り組みとともに、空き家問題に関する調査・研究なども行いながら、空き家所有者の啓発を図り、行政との連携を目指していく。

 単なる業界関係各社で親睦を深めるだけではなく、多彩な特徴あるプレーヤーが集まる中で、ビジネスマッチングも視野に入れているという。

 今後、より少子高齢化が進む中で、空き家問題の解消はすでに待ったなしの状況だ。これまで、意欲的なベンチャー企業が、自社が得意とするテクノロジーでさまざまな方向からこの問題にアプローチしてきた。

 これからは、各社の知見を持ち寄り、国や自治体と連携しながら、さらに効果的で実効性のある対策を実施していかなければならない。今回のコンソーシアムの発足は大きな前進となるだろう。

「待ったなし」の空き家問題に公民連携で取り組むコンソーシアムの本気度設立会見の様子。理事企業はクラッソーネ(代表理事)、アットホーム、AGE technologies、大和ハウスパーキング、LIFULL、リノバンク。会員には、東京大学不動産イノベーション研究センター(CREI)、野村不動産ソリューションズ、みずほ不動産販売、三菱UFJ銀行、LIXILが名を連ねる。 photo by Jun Murakami