「新NISA」投資運用業界から見た3つの特徴、大成功の旧NISAとの最大の違いは?Photo:PIXTA

2024年1月から「新NISA」がスタートする。これまでのNISAを拡充したものだが、その内容について詳しくない方も少なくないだろう。今回は、「新NISA」の枠組みについて優しくかみ砕いて解説する。(レオス・キャピタルワークス株式会社未来事業室長 田中秀一郎)

岸田政権「資産所得倍増計画」の
目玉政策としての「新NISA」

 2024年の1月から、新しいNISA制度である「新NISA」がスタートします。

 そもそもNISAというのは、株式などに対する少額投資非課税制度のことで、株式、投資信託、REIT(不動産投資信託)などに投資して、その利益が確定した場合に、通常であれば課税される資産所得税がなかったこととされる投資優遇政策です。

 この制度は主に投資信託を中心に急速に普及し、金融界の活性化に大きく貢献しましたが、非課税期間が限定的なうえ、制度自体も時限制だったために、この改善が求められてきました。

 これらの投資家や業界からの声に対して、所管官庁である金融庁も、各年の税制改正要望で制度の恒久化を求めてきましたが、なかなか実現しませんでした。

 しかしながら、岸田政権の資産所得倍増計画の目玉施策としてNISA制度が恒久化され、その新制度のスタートが来年(24年)ということになりました。

 新NISAは、今年(23年)までの旧制度とさまざまな点が異なりますので、新制度の特徴をよく理解して活用することが必要です。

 筆者はこのNISA制度の発足時から毎年、金融関係の営業員を対象とした通信教育の教科書でNISA制度を執筆・改訂しており、業者目線での制度解説を行ってきました。

 2回に分けて、そもそも新NISAとはどういうものか、業者目線では新NISAがどう考えられるか、NISAの顧客像がどう変わるか―などについて説明していきたいと思います。

 次ページ以降、「新NISA」をこれまでのNISAと比較しつつ、その枠組みを解説していきます。