中国の介護従事者は高収入、高齢者が必死に公園へ行く理由

「ヘルパーさんは費用が高く自己負担なので、家族が行うしかありませんでした」と黄さんは振り返る。

 だが、裏を返せば、ヘルパーは比較的いい収入を得ているということになる。中国の大手介護サービス企業の担当者に尋ねると、「中国では介護従事者は、販売などの一般の職業に比べて倍近い収入を得ることができるので、少なくとも弊社は深刻な人材不足にはなっていません」という。

 闘病中、汪さんは何度か入退院を繰り返し、ICU病棟に2回、合計20日以上入院した。ICU病棟は非常に高額で、1日当たりの自己負担額は平均して1万元(約20万円)だ。

 ちなみに中国の医療保険制度は、1人当たりの割当金額(黄さんの場合は年間2000元=約4万円)が決まっており、それを超えた分が自己負担となる。

「医療費が高額すぎる中国ではがん治療を諦める人もいます。だから高齢者は病気にならないように必死に運動するんです」と黄さんは言う。中国の公園に高齢者が多い理由はここにある。

 なお、パーキンソン病との闘いは排便との闘いでもあった。下剤は全く効かず、1週間も排便がないのはざらだった。そういうときは、黄さんの手でなんとかするしかなかった。2週間も便秘が続いたときは、さすがに救急車を呼んだが、帰路は通勤ラッシュにぶつかり、同じ区内の病院から4時間かけて帰宅した。