代わりにBBCは、より具体的で中立的な言葉を使用することを推奨している。例えば、「爆弾を仕掛けた人々」や「武装した集団」といった表現を使い、その行動に焦点を当てることで、偏見や先入観を避け、事実を正確に伝えることができる。これは、言葉が持つ力、イメージといったものを認識し、公平で中立的な報道を心がけるための一環である。

イスラエルの反撃は支持するが
「やりすぎ」の懸念が頭をよぎる

 それにしても、今回のイスラエル・ハマス戦争は、前のめりにイスラエルの支持をしにくい部分がある。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃は、「ハマスの一方的でかつ不法なイスラエル市民への攻撃」への反撃であることから、イスラエルの反撃を、私は基本的に支持している。

 そしてまた、自国民の生命や財産が脅かされたら、烈火のごとく反撃を試みるイスラエル政府を頼もしく感じるし、福島第1原子力発電所の処理水放出に反発して日本の水産物を全面禁輸とした中国に対し、何も対抗しようとしない岸田外交には、少しはイスラエルを見習ってほしいとさえ思う。

 しかし、「やりすぎ」という懸念が頭をよぎる。10人中3人(9人でもいい)がハマスの武装勢力のメンバーだとして、残りの7人(1人)の市民を殺していいわけがない。「見分けがつかないから全員殺す」がまかり通れば、日本の市民は準戦闘員だとして、東京大空襲や広島・長崎への原子力爆弾の投下などの民間人大虐殺を敢行したことを正しいと認めることに他ならない。

 どこの国も守る気はないのかもしれないが、国際法では、過剰な反撃や報復は認めておらず、当然ながら民間人への不当な扱いは禁止されている。

 中東・カタールに本拠を置く国際ニュースメディアのアルジャジーラは、「The mask is off: Gaza has exposed the hypocrisy of international law(仮面ははがれた ガザは国際法の偽善を暴いた)」(2023年10月17日)という記事で以下のように報じている。

《ロシアの侵略に直面したウクライナの人々を擁護し、癒し、正義を実現するために、国際法がいかに熱心に利用され、そして今も利用されているかを見てほしい。そして同じ法律や規範、原則が、現在進行中のイスラエルによるパレスチナ人への攻撃に対する西側の対応において、単なる脚注や提案に縮小されたのと比べてみてほしい。米国が率いる西側諸国は、国際法とルールに基づく世界秩序の順守を、自分たちの議題に都合のいいときだけ主張する》