全学年の意見をもとに、卒業式前日の給食メニューを決めよう! その場合、どういうふうに決めれば公平だろうか? 駒場東邦中学校2017年の問題から抜粋して、民主制に対する理解度を確かめてみよう。
政治の学び直しに役立つと話題の書籍『今さら聞けない!政治のキホンが2時間で全部頭に入る』(馬屋原吉博著、すばる舎)から、著者で中学受験の社会科の大人気講師・馬屋原吉博先生のわかりやすい解説でお伝えする。

【政治の学び直し】給食メニュー決めで民主制の理解度を確かめよう。中学入試レベルの問題にチャレンジ!写真はイメージです(Photo: Adobe Stock)

卒業式前日のメニューの投票結果は?

 卒業式前日の給食について、学年ごとに希望の多いメニューを2つまであげ、その意見を持ち寄り、各学年の代表者が話し合うことになりました。先生は「どうするとみんなの意見が反映できるかを考えてごらん」と言っています。

 以下は、各学年の希望メニューと、代表者の意見をまとめたものです。

【各学年(児童数)の希望メニュー(1位/2位と各希望児童数)】
・6年(62人):スパゲティミートソース(24人)/鶏のからあげ(16人)
・5年(76人):鶏のからあげ(49人)/スパゲティミートソース(12人)
・4年(60人):スパゲティミートソース(20人)/カレーライス(19人)
・3年(70人):スパゲティナポリタン(26人)/カレーライス(25人)
・2年(68人):カレーうどん(26人)/カレーライス(20人)
・1年(70人):ハンバーグ(34人)/カレーライス(27人)
【各学年の代表意見】
・Aさん(6年代表):6学年のうち2学年で1位になった「スパゲティミートソース」にすべきだ。
・Bさん(5年代表):第1位にあげている児童数が最も多い「鶏のからあげ」にすべきだ。学年ごとに児童数も違うのに、児童数が多い5年生の意見と、児童数が少ない6年生や4年生の意見が同等に扱われるのはおかしい。
・Cさん(4年代表):6学年のうち3学年がスパゲティを第1位にあげているので、少なくとも「スパゲティ」のどれかにすべきだ。
・Dさん(3年代表):第1位にあげられた5つのメニューでもう一度決選投票を行ってはどうか。
・Eさん(2年代表):「カレーライス」は残さなくていいのかな……。
・Fさん(1年代表):第1位にあげた人が多い「鶏のからあげ」か「ハンバーグ」のどちらかがいいな。

<問1>
麺類が大好きで、麺類なら何になってもよいと思っているCさん(4年代表)は、麺類が選択肢にないFさんの意見には反対です。それに加えて、Dさんの意見(5つのメニューでの決選投票)も麺類に決まらない可能性があるため避けたいと考えています。Cさんはなぜそう考えるのでしょうか。

<問2>
Eさん(2年代表)は、カレーライスも候補に残すべきだと考えていますが、自信がなくて意見をはっきり伝えられずにいます。Eさんの主張を後押しするためには、どのような根拠をあげるとよいでしょうか。

*実際の入試問題では、このあとBさんの意見をもとに「一票の格差」について考えさせる問3が続きます。

<解答・解説>
 近年、大学入試改革の影響もあって、中学入試でも、偏差値帯を問わず「思考力・判断力・表現力」を問う問題を作成する学校が増えています。とはいえ、駒場東邦中などに代表されるいくつかの難関校は、そのはるか以前から、こうした長文や表の読み取りを必要とする問題を積極的に出題してきました。民主的に物事を決める際に起きうることに目を向けさせるこの問題、いかがでしたか?

<問1の回答例>
 決選投票で、全員が、自分が「第1位」として投票したメニューに再度投票すると「鶏のからあげ」が選ばれるから。

<問2の回答例>
 希望順位を考えなければ、上位にあがった6つのメニューのうち、最も希望児童数が多いのは「カレーライス」である。

みなさん、いかがでしたか? 回答できたでしょうか。
お子さんとも議論してみてください。