埼玉県川口市にある川口芝園団地埼玉県川口市にある川口芝園団地

埼玉県川口市は、日本でも1~2位を争うほど外国人住民の多い自治体であることをご存じだろうか。今回取り上げる川口芝園団地は、特に中国人住民が多く、日本人より大勢住んでいることで知られる。多文化共生の優秀な事例として、国際交流基金から表彰されたこともある団地なのだが、実際どのように中国人と日本人が共生しているのだろうか? 祭りに参加してみると、予想とは違う側面が見えてきた。(講演・研修セミナー講師、マーケティング・コンサルタント 新山勝利)

2019年の出入国管理法改正で
日本は事実上、移民政策を解禁した

 少子高齢化が急速に進む日本。日本の総人口は、既に長期の減少過程に入っている。2029年には人口が1億2000万人を下回り、さらに減少を続ける。2053年には1億人を割って9924万人に、2065年には8808万人になると推計されている(内閣府「令和元年版 高齢社会白書」)。

 こうした日本の人口減少を踏まえ、岸田首相は7月22日、「外国人と共生する社会を、考えていかなければならない」と語っている。また、政府の共生社会の実現に向けたロードマップにも触れ、語学教育や相談体制の強化をより推進する考えを示した。

 2019年4月、政府は「改正出入国管理法」を施行し、外国人労働者の受け入れが拡大された。新たな在留資格の目的の一つには、深刻な人手不足に対応するための即戦力を受け入れる目的がある。在留期間の更新に回数制限はなく、事実上の永住が可能だ。配偶者や子どもの帯同も認めている。実質的には移民政策を解禁したことになり、日本が大きくかじを切ったといえる。

 これから、日本ではどのような多文化、共生がはかられていくのであろうか。一つの先進事例として、埼玉県川口市がある。2020年には在留外国人総数が全国の自治体のなかでも東京都新宿区を抜き、全国で最も外国人住民が多い時があった。現在は、新宿区の4万1228人に次ぐ第2位で、4万116人の外国人住民が川口市に住んでいる。

図_在留外国人の全国トップ10在留外国人の全国トップ10。法務省「在留外国人統計(旧登録外国人統計)」(2022年12月末)を基に筆者作成。政令都市は区単位 拡大画像表示