「緩和維持」続ける日本銀行
「賃金・物価の好循環」はなぜ重要か
消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率は直近に公表された9月は前年同期2.8%増と、伸び率は鈍化したものの、2022年4月以来18カ月連続で、日本銀行が物価目標に掲げる「2%」を超えている。
一方、日本銀行は10月の金融政策決定会合でも、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の運用柔軟化(10年国債利回り1%を厳格な上限から上限の目途に変更)を打ち出したものの「緩和維持」の姿勢は変えていない。
植田和男総裁が会見などで繰り返すのは「賃金・物価の好循環」実現にまだ十分な見通しと確信が得られていないという点だ。
日銀が賃金と物価の好循環を重視するのはなぜか。それはよくいわれている来年春闘の賃上げ状況を見極めるというだけが理由ではない。