まずは「人手不足」である。すでにその実例がある。スーパーゼネコンの大成建設が11月9日、中堅ゼネコンのピーエス三菱をTOB(株式公開買い付け)によって連結子会社化することを決めた。業容拡大を図る大成と人手不足の解消を目指すピーエス三菱の利害が一致した。
二つ目のトリガーは「後継者難」だ。M&A(企業の合併・買収)助言会社のレコフによると、近年は後継者不足をきっかけにした事業承継型のM&Aが活発化している。例えば、準大手の戸田建設が18年末、後継ぎがいなかった福島県の名門ゼネコンである佐藤工業を子会社化している。
業界再編の“刺客”はゼネコン業界にとどまらない。“黒船”ともいえる「物言う株主(アクティビスト)」が、三つ目のトリガーだ。
「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」のゼネコンは、アクティビストに狙われやすい。アクティビストに圧力をかけられた西松建設や大豊建設などは、再編を余儀なくされた。
トリガーの四つ目。異業種プレーヤーによる「領空侵犯」も目立つ。大和ハウス工業が12年に準大手のフジタを買収して業績を拡大させたのを“モデルケース”とし、近年はハウスメーカーが中堅ゼネコンを獲得する例が相次ぐ。
最後のトリガーが「自滅」だ。準大手の三井住友建設は、自社が手掛ける大型工事でトラブルが続き2期連続の最終赤字に陥った。財務基盤が揺らいだこともあり、「三井住友建設はどこに買収されるのか」といううわさが絶えない。買い手として名前が浮上するのは、ゼネコン業界に限らない。
あくまで2024年問題は、業界再編のきっかけの一つにすぎない。“火種”は、至る所にある。「ゼネコン大再編時代」がいよいよ到来する。