米西部カリフォルニア州サンフランシスコ近郊で、会談を終えて握手するバイデン米大統領(左)と習近平中国国家主席米西部カリフォルニア州サンフランシスコ近郊で、会談を終えて握手するバイデン米大統領(左)と習近平中国国家主席 Photo:EPA=JIJI

約1年ぶりの首脳会談で
米中に一定の成果

 約1年ぶりの米中首脳会談が11月15日(現地時間)、米サンフランシスコで開催された。バイデン大統領は今回、APEC(アジア太平洋経済協力会議)出席用とは別に、米中首脳会談開催名目で習近平国家主席に招待状を送るという重視ぶり。一方、中国側も、高級国産車「紅旗」2台を事前空輸し、最高指導者の現地での移動、セキュリティー用に使用するという重視ぶりであった。

 両首脳はメディアを入れた冒頭会談、メディア抜きの正式な会談以外に、ワーキングランチ、同時通訳だけが入った二人だけの会談、同時通訳なしでの庭園散歩など、計6時間弱の時間を共にした。

「APECは米中のためにあるのか」

 見る者をそう当惑させるかのような光景であった。

 米中間の構造的問題、戦略的相互不信が解消されたわけでは毛頭ないが、気候変動、人工知能、直行便増便、そして軍対話の再開など一定の成果を残したと言える今回の首脳会談。本稿では、台湾問題に焦点を当てる。

 台湾総統選まで残り2カ月を切った中、今回の首脳会談でも、筆者から見て極めて重要なやりとりが習近平―バイデンの間でなされている。また、台湾では、総統選立候補者の受け付けが終了したが、事前に合意していた野党の候補者一本化が決裂するなど、劇的な展開を見せている。

 2024年、台湾問題はどこへ向かうのか。台湾有事は顕在化するのか。現時点での検証と分析を試みる。