2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理#3Photo by Yoko Suzuki

買うにも住むにもコストアップのマンション市場。空前のインフレ市場の中、起こっているのは残酷なまでの「優勝劣敗・超二極化」だ。マンション相場を読み、管理の現実を見据えて負けない選択をしよう。特集『2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理』(全24回)の#3では、いまマンション売買・管理を取り巻く「カオス」の泳ぎ方を詳しく解説する。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

「平均3億も即売」と「客来ずモデルルーム閉鎖」
勝ち負けが超二極化する東京のマンション市場

 三田ガーデンヒルズ。東京メトロ麻布十番駅近く、東京都港区では最大の敷地面積を誇る約2万5000平方メートルの旧逓信省簡易保険局庁舎跡地に、三井不動産グループと三菱地所グループが共同で建設中の総戸数1002戸のマンションだ。

 2023年、都内の新築マンションの平均販売価格が初めて1億円を超えることになった理由をつくった「主犯」でもある。2月から発売したその住戸の販売価格は「平均」3億円、最高額住戸は45億円だ。だが、すでに全住戸の半分程度が販売されたとみられている。

 ちなみに平均価格1億円超えには「共犯」がいる。浜松町の世界貿易センタービルディング跡地で鹿島、三井不動産、三菱地所、東京建物などが販売中のワールドタワーレジデンスという389戸のタワマンだ。こちらも平均の坪単価が1000万円を楽に超え、最高価格では10億円の部屋もある。どちらもモデルルーム見学の予約を取るのも困難で、2億円を超えるにもかかわらず、数十倍の倍率が付いた部屋もあるという。

 一方で、同じ都内のマンションモデルルームで全く違う光景も見られる。100戸以上のマンションなのに、1期当たりの販売戸数が1桁しかなく、早々にモデルルームも閉鎖されてしまう、といったものだ。来客が全くないためだという。

「郊外物件で、総戸数と期分け分譲された戸数の合計が合わない物件が多く出てきている。売れない物件は二次卸に回されて中古マーケットに直接流れ込んでいるのではないか」と井出武・東京カンテイ上席主任研究員は言う。これまではマンション立地としても人気だった、立川や八王子などの国分寺以西の郊外や、世田谷・杉並区などの住宅地でもこうした現象が見られるようになっているという。

 超高額物件と苦戦物件が入り交じり、平均値を見るだけでは何が起きているか全く分からない。二極化が今マンション市場を「カオス」にしている。

 二極化は管理でも進む。新築物件で、住民は管理を丸投げできる第三者管理方式(本特集#9)が普及しつつある一方で、委託していた管理会社から契約を切られ、後継会社が見つからずに自主管理を迫られるところもあるという。

 今いったいマンションに何が起こっているのだろうか。今はマンションの買い時なのか?また、正しい買い方とは?次ページからひもといていこう。