大勢のユーザーがオンライン上で同時に参加できることから、これらのゲームをMMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game=大規模多人数同時参 加型オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)と呼ぶ人も増えました。2017年にアメリカのEpic Gamesがリリースしたオンラインゲーム『Fortnite』(フォートナイト)は、世界中で爆発的にヒットします。Epic GamesのCEOであるティム・スウィーニーは、『Fortnite』の仮想空間を「メタバース」と呼んでバズワード化しました。

『Fortnite』がリリースされたあたりから、メタバースという言葉がバズワードとして 広く認知されるようになります。「AI」「ブロックチェーン」「仮想通貨」といったバズワードは、2〜3年に1度くらいの頻度で出てくるものです。いずれも世界経済を揺るがすほどのインパクトをもたらし、AIやブロックチェーン・仮想通貨によって株式市場も世の中全体も激しく変化していきました。今はメタバースが、世界中の株式市場と世界経済をひっくり返すほどのディープ・インパクトをもたらしつつあるのです。

国家戦略としてのメタバース、20年前の失敗を繰り返すか?

メタバースという大きな流れを個人の人生にではなく、国家の戦略として組みこんだ場合のことを考えてみようと思います。
 
個人がメタバースを「くだらない」「オタクや子どものオモチャ」と考えて将来性を読み間違ったとしても大したことはありません。その人のチャンスが失われるだけです。ただ、国家がもしメタバースなどの新しいテクノロジーの将来性を読み間違えた場合、その影響は甚大です。

産業は丸ごと他国に奪われ、重要な人材は海外に流出し、企業は安値で買い叩かれ、給与は上がらなくなり、経済成長はストップし、先進国としての世界での影響力はどんどん低下していくでしょう。現在の1億人以上の国民、これから生まれてくる何千万人の子どもの人生を左右することになるので、シビアに考えていく必要があります。
 
20年前にインターネットでまさに日本は同じ失敗をしてしまいました。家電や自動車 などのハードウェアの製造で国を成長させてきた日本にとっては、インターネットなど の新しいテクノロジーの存在を過小評価していました。

2000年代では「モノづくり大国ニッポン」として形あるものを作ることこそが「実業」であり、無形のソフトウェアやコンテンツを作るインターネットは「虚業」と言われていました(今でもそう呼ぶ年配の方はたくさんいますが)。