手塚治虫など過去の偉大な漫画家がロールモデルとして存在したことで、多くの子どもが誰かを感動させるコンテンツを自分の手で作りたいと考えるようになり、『ワンピース』や『NARUTO』など多くの人気作品が生み出されました。ゲームも『マリオ』や『ドラクエ』に影響を受けた世代が大人になって『パズドラ』や『モンスト』などのゲームを生み出し、好循環が生まれました。

優秀なクリエイターが大量に存在して、業界にノウハウも蓄積されています。「知財」の観点でも有利です。知財とは知的財産権の略でコンテンツの版権のようなものです。『マリオ』や『ポケモン』や『ワンピース』のような世界的に人気のある作品の知財を持っているので、これをグッズや映画など他のビジネスにも横展開が可能になります。

メタバースにおいてもこういった世界で通用するコンテンツを活用してバーチャル空間を作ることができれば、一気にユーザーを獲得してビジネスを成功させる確率を高められます。最後に忘れてはいけないのが「文化」の強みです。あまり注目されていませんが、日本はコンテンツに対して最もお金を払う国民性を持っています。
 
スマホゲームでもユーザー1人あたりの課金額は日本が世界でぶっちぎり1位です。漫画などのコンテンツにもちゃんとお金を払う習慣があります。メタバースにおいてもアバターやデジタルアイテムを購入するということに最も抵抗がないのが日本人なのです。
 
自分の国のユーザーが世界で一番コンテンツにお金を払ってくれる国民性というのは、 作り手からするとこれほどありがたいことはありません。

日本経済復活のカギはメタバースしかない

一方で、メタバース以外でもいくらでも新産業などあるだろうと考える人がいるかもしれませんが、他産業では強みを活かせる領域が少ないどころか、絶望的な差がどんどん開いています。例えば、インターネットの次の産業として注目を集めている宇宙産業ですが、こちらは軍隊を保有して莫大な軍事予算を持っているアメリカや中国のような国が非常に有利です。
 
将来的に宇宙が戦場になる可能性が高く、制空権ではなく制「宇」権を争うためには、 ロケットや衛星に国を挙げて投資をする必要があります。

もちろん行政や軍隊から民間企業にも発注されるため、産業としての盛り上がりは比べものになりません。また、量子コンピュータのような次世代コンピュータの領域も、GoogleやIBMのような巨大テクノロジー企業が湯水のごとく予算を注ぎこんで開発しているため、差はどんどん開いていっています。