勤怠データや給与データ、そのほかの仕事や働きぶりに関するさまざまなデータを結びつけてクレジットスコアに転換することができれば、「この人は3年間、真面目に働き続けて、お客さんの評判もいい」といった“働き方の実績”によって社会的信用が上がり、好きな家が買えたり、より豊かな生活を手に入れられる社会が実現します。

今の年収の数字だけじゃない、その人のもっと本質的な部分にクレジットが貯まっていく。これが僕たちが目指したいファイナンシャル・ウェルネスのイメージです。もちろん、僕たちだけでは実現できないので、給与計算や決済、銀行など、複数の協業先と連携して実現していく構想です。

新しい金融サービスは「貧テック」ではない

──実現に向けて、社内の体制や雰囲気はどうですか。

今は僕を入れても10人程度の少数精鋭の体制です。ピーク時は30人ほどいて、2度の経営体制変更がある中で辞めたメンバーもいたそうですが、今残っているのは創業期から強い思いを持って顧客に向き合ってきたメンバーです。僕のビジョンに共感して新たに仲間になってくれたメンバーも加わって、新たな創業に挑むような前向きな活気があるのはありがたいですね。

毎日議論をしながら新しいアイデアも湧いてきて、いずれは福利厚生や経費精算のあり方もアップデートする提案をしていきたいと思っています。

デジタルバンキングが実現して、EWAに基づいたお金のやりとりがすべてデジタル上でできるとしたら、自社商品・サービスを従業員により簡単に提供できたり、従業員の一旦負担を介することなく会社の財布から直接経費を使えたり。そんな仕組みも技術的に可能になります。働く人に関わるお金の「当たり前」をあらゆる面で変えていきたいです。

──金融とITが結びつく「フィンテック」がいよいよ生活の核心部分に行き届く。そんなビジョンが伝わってきました。
 

フィンテックそのものを、もっと希望を届けられるものへ変えていきたいという思いがあります。フィンテックを「貧テック」と揶揄する言葉が時々聞かれますが、「新しい金融サービスは、貧困者を食い物にする」という悪いイメージが浸透しているとしたら残念です。

僕たちはそうじゃない会社でありたいし、むしろこれまで経済的な恩恵を受けてこなかった人たちにウェルネスを届けられる会社にしたい。それを実現するだけの技術も、世の中の空気感も整ってきた。だから今こそアクセルを踏んでいきたいですし、ペイミーという会社の存在価値を真剣に問い直していきたいと思っています。