それに向けた資金として、同社ではJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、第一生命保険、フォースタートアップスキャピタルを引受先とした第三者割当増資により、シリーズCラウンドで約17億円を調達した。

READYFORではコアサービスのクラウドファンディングを軸として「寄付・補助金のインフラ」に向けて事業を広げている
READYFORではコアサービスのクラウドファンディングを軸として「寄付・補助金のインフラ」に向けて事業を広げている

コロナをきっかけにニーズ拡大、1億円超えの案件が続々と誕生

「大変な時や資金が必要なときにREADYFORを想起してもらえることが増え、クラウドファンディングを1つの『お金集めのインフラ』として捉えてもらえるようになってきていると感じます。特にREADYFORの場合、継続的に寄付を集めたい医療機関や団体などがずっと使い続けるツールになり始めている。資本主義ではお金の流れにくい、広義の非営利の領域に注力し続けてきたことで、そのような状況が作れていると考えています」

READYFORで代表取締役CEOを務める米良はるか氏は自社の近況についてそう話す。

米良氏の発言を裏付けるように、数字の面でも明確な変化が生まれている。その1つが「大型案件」の増加だ。

2020年以前には存在しなかった「1億円以上を集めるプロジェクト」が10件以上誕生。支援金が1000万円を超えるプロジェクトの数も、2020年2月時点の97件から314件(2020年3月から現時点)まで増えた。同じくコロナ禍の前には0件だった「1万人以上が支援したプロジェクト」も4件生まれている。

大型の案件が特定の領域に偏っていない点もREADYFORの特徴と言えるだろう。医療従事者やコロナで苦しむ人を支援する医療・福祉系のプロジェクトを始め、鹿島アントラーズや浦和レッドダイヤモンズのようなスポーツ領域、寄席支援プロジェクトといった伝統文化領域などREADYFORを活用する団体の幅が広がっている。

直近では世界遺産の法隆寺が維持管理費を調達するためにクラウドファンディングを始めたことが話題を呼んだ。同プロジェクトはすでに2000万円の目標金額を大幅に超え、6500人以上から1億3000万円以上の資金を集めている。

法隆寺のクラウドファンディングプロジェクトは大きな注目を集めた
法隆寺のクラウドファンディングプロジェクトはSNSなどで話題を呼んだ

「コンテンツやエンタメ、外食なども含めたQOLを向上させるものに対して、それを支えていきたいという思いを持っている人が多いことを改めて実感しました。多くの人がプロジェクトへ賛同する様子を見て、10年間続けてきた中で社会から必要とされるサービスになったという手応えも感じています」

「たとえばスポーツチームなど、コロナに関係なく継続して利用してもらえる事例も増えてきました。潜在的に多くの人からお金を集められる力を持っている団体にとっては、過度な返礼品なども求められないこともあり、READYFORが1つの収益基盤として徐々に定着してきています。コロナ禍を機に今まで以上にカテゴリーが拡張し、その人たちが寄付を財源として継続的にサービスを使い続けてくれる状態になってきたことがこの2年間の大きな変化です」(米良氏)