READYFORとしてはまさにこの数年にかけて、独自のデータベースを用いてさまざまなお金の流れをマッチングする取り組みを試行してきた。

1つがコロナ禍に始めた「基金・寄付・補助金企画サービス」。READYFORが基金というかたちでお金を集める箱のようなものを作り、個人や企業から集めた資金を適切な団体へと届けていくサービスだ。

自社運営基金に加えて休眠預金の資金分配団体として基金の立ち上げや運営を手がけており、これまでに5度の助成分配を実施。累計で2000件を超える申請に対して審査をし、260団体・事業への資金提供や伴走支援を行ってきた。

「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」では総額で8.7億円以上の寄付を集めた
「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」では総額で8.7億円以上の寄付を集めた

もう1つの仕組みとして、2021年4月からは「遺贈寄付サポートサービス」も展開している。

遺贈寄付とは個人が遺言によって自身の財産を寄付することや、遺族が相続した財産を寄付することを指す。終活への意識の高まりや、単身世帯の増加などを背景に遺贈寄付への注目度が増してきている中で、READYFORが個人の要望に沿って適切な団体をアレンジするようなサービスだ。

同サービスは「遺贈寄付をしたいけれど、何から始めるべきかがわからない」といった個人を中心に、これまで450件以上の相談を受け付けてきた。すでに2つのサービスを合わせて累計で約25億円の資金をさまざまな団体へマッチングしているという。

「『クラウドファンディングの会社』からの進化は以前から言い続けてきたことです。この数年で寄付・補助金のインフラを目指して取り組んできたことが、少しずつ成果として現れてきています」(米良氏)

「インパクトの可視化」でダイナミックな資金が流れる仕組みを作る

READYFORの経営陣
READYFORの経営陣

今回の資金調達はクラウドファンディング事業や既存事業の拡大を目的としたもので、組織体制やマーケティングの強化などに投資をしていく方針だ。米良氏はREADYFORにとって「インパクトの定量化」が今後のチャレンジになるという。

資本主義ではお金が流れにくい領域へ、より多くの資金が流れる仕組みを作る上では、支援の対象となる団体や事業の透明性と安全面が欠かせない。

実際に「寄付に悩んでいる理由の1つとして(対象の団体が)怪しい気がするという意見や、そもそもどこにお金が流れるのかがわからないという意見も多い」(米良氏)ことから、READYFORでは「トライアンドエラーを繰り返しながら、安心安全に寄付ができるためのサービス作り」に力を入れてきた。

一方で、より大きな資金の流れを作っていくには「お金が流れた結果として、世の中にどのようなインパクトを与えたのか」を伝えていく必要があるという。