でも、バクラクシリーズはBtoCサービスの使いやすさを再現するように、BtoBサービスを作っている。BtoBでもUXの高いサービスを提供しているというところが魅力的なポイントだったのではないかなと考えています。

データで購買をアシストする、LayerXが目指す世界

──経費精算や請求書処理といった経理系のサービスは、ここ1〜2年ほどでプレーヤーが増えてきたと感じています。競争の激しい市場を選んだのはなぜでしょうか。

市場競争の激しさは、主観でしかないと考えています。たしかに、SaaSの比較サイトで請求書発行や会計ソフトを検索すれば100製品ほどは出てくるでしょう。でも、受領した請求書を処理するサービスとなると3〜4つほどしかない。フォーマットがバラバラな請求書をAIで認識して、そこから裏の工程をすべて自動化するというのは、かなり大変なので、参入しづらいんです。

もっとも、「参入しづらい」というのもわたしの主観でしかないかもしれません。

しかし、バクラクはシリーズ累計で2000社以上の企業、事業者に導入されており、年間の決済取扱額(TPV)は約7000億円規模にまで成長しています。これは主観ではなくファクトとしてある。競争が激しいことによって出てくる問題は、企業が成長しないことですが、LayerXは実際に伸びている。たとえ競争が激しい市場だと言われたとしても、「ぼくらは競争に負けていません」という厳然たる事実があるのです。

画像提供:LayerX
画像提供:LayerX

このような事実を得られているのは、前述のとおり、LayerXがプロダクトに向き合っていること、その結果としてお客様満足度が非常に高いことによるものだと自負しています。

──支出管理の自動化から始まり、現在は法人カードも提供しています。その後の事業展開については、どのように考えていますか。

いま暇な時間に動画を見ようと考える場合、いちいち検索して探すということが少なくなっているのではないでしょうか。NetflixでもYouTubeでも、これまでの視聴データから推薦されるものを選んでいます。

一方でビジネスにおける購買活動ではなぜかゼロから情報を調べていますよね。例えば、出張が決まっている場合、移動のための交通手段や宿泊先を自分で調べて決めて買わないといけない。むしろ、出張日と移動に使える費用などの条件の中で、自動的にピックアップしてくれ、それを承認するだけ、というほうが、現代の購買行動として、本来あるべき姿ではないでしょうか。