情熱を抜きにしてしまったら、起業家教育ではなくてビジネス教育や経営教育になってしまうような気がします。とにかく起業家教育と言うならば、根底の課題に共感し困っている人たちに共感し、自分が何とかしたいという強い気持ち、情熱がないといけない。

なぜならば起業というのは、ある種の突破力を必要とするからです。人間の感情を無視することはできない。フレームワークのような道具も必要ですが、何よりも感情が起点になると思います。

馬田:起点となる自分の感情を見つけるためにも、現場に行くことが大事ということですか。

駒崎:そうですね。現場に出ることで新しい実相を理解することができます。

世界は、自分が思うよりも可能性に満ちている

馬田:2004年にフローレンスを設立してから18年が経ちます。改めて、現在のフローレンスの状況、そして今後の展望についても教えてください。

駒崎:フローレンスはこの18年間、目の前の一人に向き合うことを続けていくうちに、よりディープな社会課題が発見されていき、活動領域が年々広がってきました。最近は多様な親子に伴走するため、デジタルソーシャルワークや無園児家庭支援を独自に実践し政策提言を行い、骨太の方針にこれらが盛り込まれました。こういった活動をチームで行っており、実践を通じてスタッフからも、次の社会起業家・政策起業家が生まれています。
 
今後はさらに多くの人とともにアクションを起こしていきたいと考えています。社会変革の一歩目は知るところからです。SNSでシェアしたり、ふるさと納税の仕組みを使った応援アクションも政策起業家への第一歩につながると思っています。

馬田:ありがとうございます。最後にビジネス起業家ではなく社会起業家・政策起業家になったからこそ、駒崎さんが学べたことがあれば教えてください。

駒崎:ビジネスというのは、この世界の一部を切り取っているに過ぎないんです。私は、世の中には自分が見えていないさまざまな世界があるということを、社会起業や政策起業を通じて実感させてもらいました。同時に、人間というのはフィルターを通して物事を見てしまう生き物だなということも痛感します。

例えば政治家と聞いて「どうしようもない奴ばかりだろう」「平気で悪いことをやっているのだろう」と決めつけてかかる人がいる。しかし、実態はもっと豊かです。政治家といっても一人ひとり違って、魅力的な人もいるしどうしようもない人もいる。これは当然、政治の世界だけではなくて、ビジネスの世界も同じです。世界はもっと広く、もっと学ぶことがあって可能性に満ちている。