実際に約50店舗以上で運用してもらう中で「物件提案までの時間が従来の半分ほどに削減できた」「1人の担当者が丁寧にフォローできる顧客の数が1.5倍〜2倍ほどに増えた」「成約率が1.5倍に上がった」といった成果も生まれ始めているという。

日本よりも米国の方が市場規模が大きいこともあり、不動産テックに関しても米国が先を行く。ただ市川氏の話では「不動産コミュニケーションクラウドというコンセプトで同じような機能を提供しているサービスは、米国でもほとんどない」という。

「米国の場合は各業務のスペシャリストが5人程度のチームを組んで対応していることが多いです。一方で日本の場合は中古市場が成熟しておらず、そこまで人員を増やすことが難しい状況もあって、1人が孤軍奮闘しているような状況で負担が大きい。Faciloのようなサービスは人手が足りない日本だからこそ、先に実現できると考えています」(市川氏)

創業当初は不動産領域におけるAIチャットボットのようなサービスを考えていたが、ヒアリングを進めている内に「(仲介会社と顧客の間で)バラバラにやりとりされてあふれかえっているような情報を整えること」が最優先だと感じ、現在のサービスの方向性へと舵を切った。約1年間にわたって現場にも足を運びながらサービスの改善を進めてきた中で、具体的な成果にも結びついてきたことから、今回のタイミングで正式ローンチを決めたという。

Faciloではサービスの本格展開に向けて、シードラウンドでCoral CapitalとDNX Venturesから2億円を調達した。調達資金を用いて機能強化や導入企業の拡大に取り組む。