モンスターとの戦闘は、ゲーム開始時に選ぶモード次第で大きな変化がある。アクションゲームが苦手な人向けに用意された「ストーリーフォーカス」を選ぶと、操作をサポートしてくれるアイテム(アクセサリー)を複数装備した状態でゲームが始まる。アイテムには、「攻撃ボタンを押すだけで敵に接近し、連続攻撃を繰り出してくれる」、「敵から攻撃を受けそうになるとスローモーション演出となり、回避ボタンを押すまでの時間的な猶予が延長される」といった効果があるため、操作の難易度は低い。この戦闘シーンをアクションゲーム的に遊びたいと考えるプレーヤーなら、これらアクセサリーを「攻撃力UP」のような操作サポートをしないものに交換することで、ゲームの手応えを変更できる。

このようにFF16は物語を観ている時間が長く、しかも戦闘における操作難易度が低い設計だ。さらに、プレーヤーが迷わないように地形もほぼ一本道になっている。ただFF16の期待値が高すぎたこと。さらに、内容が既存のFFシリーズ、および既存のアクションRPGと違い過ぎることから、「想像していたものと違った」という戸惑いの声が散見された。

昨今は『ゼルダの伝説』シリーズや、そのゼルダシリーズに影響を受けたと公言している『ELDEN RING』のように、自由度の高いゲームがヒットしている。それらと比較して考えると、FF16はその真逆のゲームだ。加えてシリーズ自体の知名度の高さから、「操作している時間より、ムービーを観ている時間のほうが長い」「戦闘シーンが簡単過ぎる」といった過去作と比較した否定的な意見もSNS上に挙がった。こうした背景もあり、メタスコアのユーザーレビューは上述の7.9点でスタート。だがその後はゲームをクリアしたユーザーらによるポジティブな評価が増加。ソフト発売から1週間後の6月29日には、ユーザースコアが8.3にまで上昇するという珍しい現象も起きた。

ちなみに筆者はアクションゲームが好みだが、各種戦闘サポートアイテムを使って「敵の大群を相手に、ほとんど攻撃を受けずに無双している」という派手な戦闘シーンが気に入り、ストーリーフォーカスのままクリアした。

競合コンテンツはファンタジー映像作品

FF16をプレーしていると、ゲームというよりは長編の映像作品を観ているような気分になる。中世ヨーロッパを模したFF16の舞台は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』や、アメリカのテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』といったファンタジー作品に近い。FF16はゲームというプラットフォームを用いて、これらファンタジー映像作品を超えるコンテンツを目指したようにも感じる。