本連載が始まってから3ヵ月が過ぎ、7-9月のGDP成長率が年率4.8%になるなど、経済動向も復調の兆しを見せている。

 しかしながら、米国では景気の先行指標と言われている新築住宅販売統計が11月初めにマイナスを示し、補助金が切れて新車販売も販売減少を始めるなど、消費復活への不安要因は多い。

 一方、中国はGDP8%成長を達成しそうだが、その中身を見れば、政府支出中心となっている状況は変わらない。株と不動産にも金が流れた結果、バブル化が懸念されている。為替レートも再び円高傾向に振れている。

 この連載の冒頭で述べた「バランスシート不況」に陥るリスクは、依然として高い状況にあると言わねばならない。

 ただし、中長期で見れば経済は循環するものであり、それに伴って人のマインドセットも変化する(下のグラフ参照)。

 経済が今後下振れするとしても、再び上昇局面を迎える時期が来ることは確かだ。問題は、そのときに自社がどのようなビジネスモデルになり、どのようなポジションをとることができるかである。

消費者動向

資源高、円高、ガラパゴス化
将来を左右する「3つの不確実性」

 そこで最終回では、「戦略のパラドックス」のシナリオを立案する際のフレームワークを使って、3つの「不確実性」に対処できる普遍的な「中核戦略」を炙り出したい。業界を問わず、あらゆる読者に参考にしていただければ、幸いである。