それでも以前に比べて「通勤時の需要」が増えるなど、いくつかポジティブな兆候も見られた。秋口に入って徐々にではあるがイベント時のニーズも戻り始めている中で、ユーザーの利便性を高めながらさらなる成長を目指していく計画だ。
イベント需要は減少も、車通勤による駐車場ニーズを取り込む
イベント需要が減った一方で、緊急事態宣言をきっかけに活発になったのが車通勤時の利用だ。それまでは公共交通機関を利用していた人たちが、密集を避ける目的で自家用車での通勤に切り替えた。
東京都全体では2月に比べて、4月の緊急事態宣言発令直後の1週間で2.3倍、宣言解除後の5月末には4倍に増加。千代田区・中央区・港区の都心エリアでは、4月には2月の3.5倍だったところが、5月末には約5倍にまで拡大した。
宣言解除直後をピークにその数字自体は少し落ち着いてはいるものの、新しい層のユーザーがakippaに登録する1つのきっかけになったと言えるだろう。また通勤時やプライベートで知人宅を訪問する際など、日常的にakippaを使うユーザーが増えたことで定着率に大きな変化が生まれたという。
具体的には新規ユーザーが翌月に再度使う割合を調べたところ、3〜7月の数字が従来の1.5〜3倍に増えた。7月はまだイベント需要が戻ってなかったものの、既存ユーザーの予約件数については前年の数値を上回るなどプラスの要素も生まれている。
駐車場数は4万拠点を突破、代理店や保険の取り組みも加速
ユーザーの定着率の変化は利用用途が変わってきたことや継続して実施してきたサービスのアップデートなどの影響もあるが、予約できる駐車場が増えたことも大きいと金谷氏は話す。
コロナ禍で本業に打撃を受けたホテルなどの事業者が少しでも収益を確保するために、保有するスペースを駐車場としてakippaで貸し出す流れが加速。個人についても同様の動きが見られた結果、4〜6月には四半期ベースで駐車場の増加数が過去最高値を記録した。
「今までは供給が追いついていないことがネックで、使いたいけどすでに予約されてしまっていたということもありました。駐車場の数自体が増えたことで、ユーザーの選択肢が広がり、結果的にユーザー数や予約件数の増加にも繋がったと考えています」(金谷氏)
昨年から進めてきた施策も徐々に形になり始めている。akippaでは2019年10月にSOMPOホールディングスと資本業務提携を締結し、代理店との連携や「駐車場シェア安心保険」の共同開発などに取り組んできた。
足元ではakippaのパートナーとして駐車場開拓を行う損保ジャパンの保険代理店が約800店舗まで拡大。それ以外の代理店も含めるとパートナー数は全国で900店舗ほどに増えている。