将来的には行動ログを軸としたパーソナルCRMの構築へ
「メディアという観点で、カレンダーはものすごく面白い存在だと思ったんです。多くの人が自分自身の普段の行動をカレンダーに記録して、一度使い始めると基本的に毎日目にする。そこに日程調整ツールを組み合わせることで社外へのinvitation(招待)送付を当たり前にし、『いつ誰とどのような用件で会ったか』というオフラインの行動ログを溜めていくことができれば、個人の創造性をより高めていけるような仕組みを作れるかもしれないと考えました」
大山氏はカレンダーサービスから事業をスタートさせた背景についてそう話す。
まずは多くの人が課題を抱えている日程調整の手間を減らすツールを提供し、社外との日程調整ツールにおけるスタンダードを目指すのが最初のステップ。ゆくゆくはそれを通じて蓄積された行動ログをベースとした「パーソナルCRM」を構築し、たとえばユーザー間のビジネスマッチングを促進したりといった新しい仕掛けを取り入れていくことも見据えている。
大山氏は東京大学卒業後、戦略コンサルティングファームを経て2014年に前職のユーザベースに入社。同社では「SPEEDA」の事業開発やプロダクト開発に携わったほか、2017年にはNewsPicks USAのCOOに就任し、米国事業の立ち上げ責任者も務めた。
日程調整に目をつけたのは、アメリカでNewsPicksの事業に携わっていた頃の大山氏自身の経験も大きく影響している。
当時大山氏はNewsPicksの拡大のためには最高のエディターと組むことが必要不可欠であり、(後に買収することになる)Quartzのチームに何とかアプローチしたいと考えていた。
そんなある日、参加する予定のカンファレンスでQuartzの代表の1人がモデレーターを務めることを知る。
大山氏は当日の会場で30分のコーヒーミーティングを直談判し、承諾を得ることに成功。後日2人でモーニングコーヒーを飲みながら会話をしたことを機に、両者の繋がりが生まれた。
「短い時間であったとしても、会いたいと思った時にすぐに日程調整をしてパッと会えることで、その後の結果が大きく変わりうるのだと強く実感しました。その時に日程調整が面倒だと『またどこかのタイミングで』ともなりかねません。日程調整のハードルを下げることで、人と会うことの気軽さや行動自体を変えていく。その一助にもなるようなプロダクトを目指していきます」(大山氏)