コロナにより我々の生活様式が変化した一方、それに伴い生命維持としてのライフサイエンス・ヘルスケア技術の重要性やこれから人類が直面する気候変動・環境問題への危機感が表出した年だったと感じています。

VCは「国策ベンチャー」の創出支援の重要性が増す

それを踏まえて、2021年以降は本質的に今後人類が直面する気候変動・環境問題を解決するベンチャーや、将来の日本に必要なものの大企業がまだ参入できていない分野における社会課題を解決するベンチャーが益々求められると感じています。

これまでのベンチャーは大企業のインフラや課題を解決することで収益化するケースが多いですが、今後はベンチャー自らが社会インフラを作る、例えば新しい電力会社となる。そういうチャレンジが増えてくるのではないでしょうか。

今後のVCはそのような「国策ベンチャー」を長期的な視点に立って、創出する支援ができるかどうかの重要性が増すと思っています。

実際、日本政府から2050年の温暖化ガス排出ゼロに向けた実行計画「グリーン成長戦略」が発表されました。気候変動は今後世界的にも大きなテーマになることは間違いないと思います。米国では2020年初頭にSequoia Capitalなど大手VCがClimate Tech(気候テック)への強化を発表しましたが、2020年12月にはUnion Square VenturesがClimate Techに特化したファンドを設立するなど、動きが加速しています。

一方、SDGsの前文("heal and secure our planet")にも記載がある通り、人類は今後、気候変動だけではなく、マイクロプラスチック問題などの環境問題にも取り組むべきだと考えています。具体的には、上述のような次世代原子炉(小型モジュール炉や高温ガス炉)、核融合の分野については今後本格的に取り組んでいこうと思っています。

最後に、イーロンマスクがPayPal後にTeslaやSpaceXを創業する時にコメントしていた以下の言葉をお借りして、一人でも多くの起業家の皆さんと共に、地球規模の困難な課題解決に挑み、より良い地球を、2050年の日本の圧倒的な未来造りに貢献しましょう!!

Going from PayPal, I thought: ‘Well, what are some of the other problems that are likely to most affect the future of humanity?’ Not from the perspective, ‘what’s the best way to make money?’(意訳:「儲けるために一番いい方法は何か」という視点ではなく、「人類の将来に最も影響を与えそうな問題といえば何か」を考えた)