「ただ、今は単身世帯や核家族世帯の比率も増えたことで、そもそも『今日の食事をどうするか?』と考えるようになってきている。毎日献立を考えて料理することが当たり前ではなくなり、外食したり、商店街などでお惣菜を買って食べたりする体験が増えているんです。だからこそ、レシピの会社から料理の会社になるべきだと思いました」(福崎氏)

レシピの会社から、料理の会社へ

レシピから料理へ──福崎氏がイメージするのは、レシピという料理の“仕様書”を提供する会社から、こだわり食材を流通させることで料理の“体験”を提供する会社へ変わっていくということだ。「マートステーションを家の冷蔵庫がわりにしていければ」と福崎氏は語る。

「コロナ禍でも居酒屋メニューをつくってみたり、SNSなどではやっているメニューをつくってみたりする動きはありました。そうした新しい“料理の楽しみ方”を生み出しているのは、飲食店や食のつくり手です。マートステーションを通じて、飲食店や食のつくり手と消費者をつなげることができれば、料理の楽しみが広がっていくと思います」

「例えば、小型のマートステーションを飲食店に設置して、そこに届いた食材で料理してもらう体験も面白いでしょうし、その逆で外食で美味しかったメニューがクックパッドマートから注文できて、同じ食材が買えるといった体験も面白いと思います」(福崎氏)

クックパッドマートのアプリ画面 画像提供:クックパッド
クックパッドマートのアプリ画面 画像提供:クックパッド

クックパッドマートが目指すのは、道の駅にある産直市場のような立ち位置だ。地域の農家などがつくった、さまざまな“こだわり食材”をオンラインで注文できるようにする。そこそこの価格と品揃えで勝負する従来のスーパーマーケットとは異なる方法で消費者にアプローチしていく。

「自分は休日などに道の駅にある産直市場に足を運ぶのですが、いつも混んでいます。また最近は鮮魚専門店『角上魚類』や、食料品主体のスーパー『オオゼキ』などが人気です。オリジナルのコンテンツを持っているところは強い。だからこそ、クックパッドマートでも他で比較されない食材をどんどん買えるようにしていきたいと思っています」(福崎氏)

また、クックパッドマートは流通の仕組みも独自で構築。具体的には、クックパッドマートの配送ドライバーが共同の集荷ステーションから商品を集荷して、対象エリア内のマートステーションと呼ばれる受け取り場所に納品する。販売者・生産者は注文内容に従って商品を準備し、決められた集荷用ステーションへ出荷するだけでいい。