じげん社長執行役員CEOの平尾丈氏
じげん社長執行役員CEOの平尾丈氏

具体的には、会社の「Purpose(パーパス:目的)」を策定したほか、ロゴも変更。また、ディー・エヌ・エー元代表取締役社長の守安功氏を社外取締役に招聘(しょうへい)した。

「実は事業だけでなく、組織の戦略も時代の逆をいってしまったんです。じげんは数あるIT企業の中でも、アントレプレナーシップ(起業家精神)の育成に力を入れていて、その方法は主に阿吽の呼吸で背中を見て学ぶ、というハイコンテクストなものでした。今まで強みとしてきた部分が、コロナ禍で一気に弱みになってしまったんです」(平尾氏)

それを踏まえ、じげんでは平尾氏が“社内YouTuber”のようになり、アントレプレナーシップに関する動画を投稿しているという。「オンラインでどこまで振り切れるかが大事」(平尾氏)と言い、ビジネススクールのオンライン化のようなことに取り組んでいる。

BASE:メッセージの発信機会を増やし、カルチャーを醸成

ネットショップ作成サービス「BASE」を運営するBASEは現在、全社員を対象にリモートワークを推奨する勤務体制をとっている。ただ、鶴岡氏によれば「あくまで短期的な方針」とのことで、来年以降、同じ勤務体制にするかどうかは議論の余地があるという。

「メルカリほど大きな組織になれば“フルリモート”というかたちに振り切れますが、BASEはまだ組織規模も小さく、カルチャー醸成の観点からも振り切るのは難しい。ただ、メガベンチャーがフルリモートを打ち出すと、スタートアップはそこに追随しなければエンジニア採用ができなくなってしまう可能性があるんです。中堅企業、スタートアップとしては難しいタイミングで、この1年の間で会社としてどこまで方針をつくれるか、が大きいテーマになってくるのかなと思います」(鶴岡氏)

BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太氏の
BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太氏

BASEもメルカリ同様にリモートワークが当たり前になっており、エンジニアは働きやすくなり、生産性は上がっている感覚があるという。

「今後もリモートワーク環境下でのインセンティブ設計は当たり前にやっていく中で、自分の仕事は世の中の役に立っているのか。社員と直接触れ合う機会が少なくなってきているからこそ、そこに対するメッセージの発信機会は増やしています」(鶴岡氏)

オイシックス:戦時宣言をし、エッセンシャルワーカーをヒーローに

ミールキット「Kit Oisix」などを展開するオイシックス・ラ・大地は、コロナ禍でまず「戦時事態宣言」をしたという。普段は「平時」と「戦時」で状況を分けているそうで、2020年2月に戦時であることを宣言してから、平時の仕事をやめたとのこと。