「毎日、経営会議を実施して、意思決定を下していきました。振り返ってみて、すぐに戦時、有事と判断し、経営をシフトしたことは意味があったなと思います。スタートアップは規模が小さいからこそ、大企業よりも変化対応に優れているはずです。だからこそ、そのメリットをレバレッジしなければ成長できません。そういう意味では、すぐに戦時、有事と判断できたのは良かったなと思います」(髙島氏)

また、オイシックス・ラ・大地は先述の3社と比べて、梱包作業や配送作業などを担う「エッセンシャルワーカー(日常生活における、必要不可欠な仕事を担う人)」たちが社内に1000人、社外に1000人ほどいて割合が多い。コロナ禍はエッセンシャルワーカーにも影響があったという。具体的には、子どもの学校が休校になったことで、子どもの面倒を見なければいけなくなり、10〜15%ほど欠員が出てしまった。

「そのときは、オフィスワーカーの人たちが工場や配送センターに行き、対応することで乗り切りました。私たちの事業はエッセンシャルワーカーの人たちのモチベーション向上と働きやすい環境づくりが事業成長に直結します。どれだけマーケティングをがんばったとしても、フルフィルメントをがんばらなければ意味がないんです」(高島氏)

オイシックス・ラ・大地代表取締役社長の髙島宏平氏
オイシックス・ラ・大地代表取締役社長の髙島宏平氏

そのため、オイシックス・ラ・大地ではエッセンシャルワーカーの人たちを、ヒーローのように扱うべく、何度か特別賞与も出したという。

「コロナ禍で感染のリスクを犯しながら出勤し、増える出荷に対応する。オフィスワーカーの中にも、エッセンシャルワーカーの人たちに対するリスペクトがあったからこそ、特別賞与などの取り組みに関しても、誰からも不満が出ませんでした」(高島氏)