賃上げしても介護人材が減少
離職者が新規就業者を6.3万人上回る
厚生労働省は高所得者の介護保険料を引き上げる案をまとめた。2024年度から実施する予定だ。この背景には、介護人材を確保できないという深刻な事情がある。
厚生労働省の分析によると、22年には介護分野からの離職者が入職者を約6万3000人上回り、就労者が前年より1.6%減少した。離職超過は初めての現象だ。
岸田文雄政権は21年に介護職員の月収を平均9000円上げたが、他の業種で賃上げが行なわれたために、転職者が増えたと見られる。
高齢者数の増加で要介護者数は40年には今より45%増えて、1000万人に迫ると予測されている。厚生労働省は、40年度には280万人の介護職員の確保が必要と試算するが、これでは足りなくなる可能性が高そうだ。
介護サービスや介護人材確保のため介護職員の賃金を引き上げる必要があり、介護保険料引き上げはやむを得ないだろう。だが負担増を国民に納得してもらうにはやるべきことがある。