中古物件については、もともと数が少なかった上に、コロナ禍で「完成まで2年も待てない。急いで別荘を確保したい」という層がある程度妥協して買い占めるようになったため、なかなか手に入らなかった。要は、新築も中古も逼迫(ひっぱく)した需給の状態が続いていたのだ。
だが、価格上昇の局面に入り、中古の売り物件も増えてきた。さらに、新型コロナウイルスの5類移行で海外渡航が緩和されたことも後押しとなった。例えば、ハワイに別荘を持っている人が「ハワイに行きたい。もう軽井沢には行かない」といった理由で築浅の別荘を売りに出すケースが出てきたからだ。
飛ぶように物件が売れる
「受け皿」が広がったインパクト
もちろん中古価格も上がっているのだが、これまで妥協して買っていた層がグレードアップのために高い物件に住み替え、そこで空いた手頃な物件を新たな人が購入するといったかたちで中古市場が伸びてきた。
新築建て売りや築浅の中古といったマーケットの拡大というのが、軽井沢の別荘の取引件数が増えて「復権」した真相だ。
「東京都心は夏が暑いから、ペットのために別荘を3億円で買った」といった富裕層がひしめく軽井沢。だが、最近では「億単位のお金は出せないけれど、軽井沢の別荘に住みたい」という人も増えている。
そこで、購入費・維持費を3000万円前後払い、20人前後で一つの別荘を所有する「タイムシェア型別荘」という新しいスタイルの物件が登場。「発売した途端、飛ぶように売れた」(リストインターナショナルリアルティの担当者)そうだ。こちらは中小企業経営者、ベンチャー企業の役員クラスなどに人気だという。
いずれにせよ、軽井沢の別荘に住みたいという人の受け皿は着実に広がっており、まだまだ人気は高まりそうだ。