コロナ禍で逼迫した需給
「タイムシェア型」の新スタイルも
コロナ禍以降、人混みを避けられる別荘地は根強い人気がある。22年に神奈川県・湘南エリアが1番人気だった理由として、「開放感」「海が近い」「湘南というブランド力」「通勤のしやすさ」などが挙げられていた。都心の人家が密集している街の狭い住宅ではなく、郊外のゆったりした街の広い別荘で日常を過ごしたい。そんな選択肢がコロナ禍で生まれた。
その一方で、22年まで軽井沢の別荘の取引件数がなかなか増えなかったのには理由がある。
軽井沢で別荘を買おうとする人は、上場企業経営者や大手ベンチャー創業者、有名芸能人などの富裕層がほとんどだ。そういう人たちは、自ら広大な土地を購入し、有名建築家、大手ハウスメーカー、地場工務店などに新築の注文住宅として発注する。
軽井沢で別荘を新築しようとすると、上物だけで1億~2億円はかかる。今は土地も値上がりしている。軽井沢の中でも特に人気エリアの「鹿島ノ森」となると、数年前まで坪50万円だったのが、今は坪100万円、最高で坪150万円にも上るという。別荘の敷地面積は300坪以上の規制があるから、土地だけで3億円をゆうに超える計算になる。
さらに、別荘の完成までには通常2年ほどを要する。今は建設需要の高まりで3年かかるケースもある。つまり建て売りを造ろうとすると、数億円の資金が数年間寝てしまって経営上好ましくないため、これまでハウスメーカーや工務店が軽井沢で富裕層向け新築建て売りにほとんど手を出さなかった。
そこにきてコロナ禍が発生。全国的な別荘需要の高さに目を付けたハウスメーカーや工務店が、ようやく軽井沢で新築建て売りの別荘を販売するようになってきたのだ。