総予測2024#48Photo by Masato Kato

コンビニエンスストア3強の一角であるファミリーマートが、新たな競争軸でナンバーワンを目指している。特集『総予測2024』の本稿では、ファミマの細見研介社長を直撃。細見社長が業界の王者セブン-イレブンをリードする“肝いり”事業の実情を打ち明けた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

猛暑が業績急回復の追い風に
価格転嫁は追い付いていない

――2023年は業績が急回復しました。

 新型コロナウイルス感染症の5類移行が大きかったですね。さらに、燃料価格の高騰に対する政府の補助金などの下支えがあり、そこに猛暑という追い風が吹きました。利益率の高い飲料などが売れたのです。ただ、特殊要因に支えられた面が大きいのも確かですね。

――原材料高が続きましたが、価格転嫁は進みましたか。

 先般、ある会合で同席した競合の幹部から「ファミマは値上げが半年遅れましたね」と言われたので、「消費者のために我慢したんですよ」と反論しました(笑)。そのぐらい価格転嫁が追い付いていないのは事実です。

 ただし、中核である「中食」は22年比10%増と好調なので、価格と商品開発のバランスはかみ合っているかなと。

次ページでは、細見氏社長が「風穴が開いた」と断ずる“肝いり”事業の実情を打ち明けている。また、同事業に関連し、王者セブンを打倒するための“勝ち癖”戦略にまで話はおよんだ。